2007 Fiscal Year Annual Research Report
簡易問診票による「うつ」症状のスクリーニングの有効性に関する産業看護学的研究
Project/Area Number |
19592599
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
影山 隆之 Oita University of Nursing and Health Sciences, 看護学部, 教授 (90204346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敏生 広島大学, 医学部, 教授 (20251069)
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Keywords | うつ症状 / 問診表 / 職場健診 / スクリーニング / 産業看護 / 職業性ストレス |
Research Abstract |
某公的企業の全職員203人にDSSと職業性ストレス簡易調査票を配布し、職員が定期健診委託機関を訪れた際に全員から任意提出を得た。DSSの抑うつ症状に関する5項目中2つ以上、または希死念慮に関する2項目中1つ以上がチェックされた場合をDSS陽性とした。DSS陽性者に1ヵ月以内に個別面談を行い、構造化面接CIDI-SFにより抑うつ症状・希死念慮等を評価しつつ、精神科的医療の要否を検討した。その結果、DSS陽性者は99人(48.8%)で、うち70人(34.5%)に二次面接を行い得た(平均年齢39.4歳、17人(24.3%)が女性)。うち3人(4.3%)に希死念慮が確認され、これ以外にも5人(7.1%)が抑うつ状態と認められ、計8人(11.4%)が要医療と判断された(うち2人は既に心療内科通院中)。要医療とされなかった62人中の2名も心療内科通院中であった。要医療とされた8人とそれ以外の62人を比較すると、年齢・性・婚姻状況には差がなかった。職業性ストレス簡易調査票の成績では(表)、仕事の負担度・コントロール度・対人関係・適合度および職場内支援度には差がなかったが、要医療群では精神的症状とくにイライラ感・疲労感・不安が高得点で、かつ家族の支援と家庭満足度が低得点であった。以上のように、DSS陽性率は住民基本健診での先行報告に比べかなり高く、疑陽性が多いため、スクリーニング効率としては課題が残った。この背景として、働き盛り集団である(高齢者がいない)ため、または完全自記式で回収したことの影響が推測された。また、二次面接で希死念慮や抑うつ状態が確認されたケースでは、家庭生活の問題の関与が推測された。つまり職場によっては、職場の環境調整だけによる自殺予防には限界がある可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)