2007 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の自立生活維持に与える要因をエビデンスにした自立促進ケアプログラムの開発
Project/Area Number |
19592605
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
薬袋 淳子 International University of Health and Welfare, 保健医療学部, 講師 (10445124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島内 節 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (70124401)
山縣 然太朗 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10210337)
鈴木 孝太 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (90402081)
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Keywords | 後期高齢者 / 自立促進 / 認知症 / うつ / 地域看護 |
Research Abstract |
本研究は、後期高齢者への健康影響についての知見を追加しようとするものである。平成17年度に山梨県K市において、申請者らが行った「高齢者保健計画・介護保健事業計画策定のための調査」で結果を得ている75歳以上の後期高齢者2,675人を対象にコホート研究を行うことで、地域高齢者の生活機能の自立度に影響する因子を経時的かつ包括的に把握でき、わが国における保健事業展開の内容と方法のためのエビデンスとなる自立促進のケアプログラムを開発し、住民に対して実験的モデル事業を行い、有用性を検討し普及を図ることを目的としている。 研究初年度(平成19年)は、二年前の調査項目である特定高齢者選出のための基本チェックリスト質問票のADL、IADL把握の5項目に手段的日常生活動作、うつ傾向スケール、SF-36活力を加え質問式調査を行った。コホートできた対象者は1,921人で、72%の回収率であった。調査結果を集計・解析し、調査対象者、及び調査協力団体に向けてリーフレットを作成した。配布は、実際介入を行いながら2年目に行う。主な結果としては、地域高齢者の生活機能の自立度に影響する因子は、「認知力」「うつ」「運動機能」「閉じこもり」「口腔機能」の順に有意な関連がみられた。これらの機能を低下させないためには、「身体を動かす」「健診を受ける」「働けるうちは働く」が重要な要素であることが示された。また、認知症傾向とうつ傾向スクリーニングとの関連においては、2年後に有意に認知症傾向のリスクとなった項目として、「充実感がない」と回答した男女とも1.6倍、「生活が楽しめなくなった」と回答した男性2.4倍、女性1.7倍、「おっくうに感じる」と回答した女性1.5倍であった。地域高齢者の生活機能の自立度を下げる要因となる認知症を早期発見するために、うつ傾向をスクリーニングするための5項目の質問が有用であることが示唆された。今後、地域介入を行い自立促進のケアプログラム開発を目指す。
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