2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア圏域の高齢者のスピリチュアリティモデルの開発
Project/Area Number |
19592617
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
国光 恵子 (竹田 恵子) Kawasaki University of Medical Welfare, 医療福祉学部, 教授 (40265096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太湯 好子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10190117)
中嶋 和夫 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (30265102)
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Keywords | スピリチュアリティ / 高齢者 / QOL / 看護 / 東アジア圏域 |
Research Abstract |
本研究の目的は高齢者のQOLを支えるケアとして、スピリチュアルな側面に注目した看護介入のあり方について検討する基礎資料を得るために、東アジア圏域(日本、韓国、中国)における高齢者のスピリチュアリティモデルの開発を行うことである。本年度は、昨年度に引き続いて高齢者のスピリチュアリティモデルを検証し、高齢者に普遍的な特徴および日本人高齢者における特徴を明らかにする方向で検討を加え、その研究成果を学会および論文として発表した。さらに、本研究の最終年であることから、3年間の研究活動の実際とその成果を報告書として纏めた。 まず、日本調査をもとに日本人高齢者のスピリチュアリティの特徴を性・年齢階層別に検討した。その結果、男性よりも女性で、年齢階層があがるにつれてスピリチュアリティが豊かであることが示された。特に、「自己超越」「死と死にゆくことへの態度」については年齢階層が高いほど得点が高く、老年期においてもさらに成熟過程をたどっていくことが推察された。昨年度の分析において既に明らかになった、日本、韓国、中国の3カ国の高齢者のスピリチュアリティにおいて、「生きる意味・目的」等の6因子が無視のできない共通性の高い変数であることは、高齢者のスピリチュアリティの普遍的特徴の一端であると考えられる。さらに、3年間の研究成果を通して、スピリチュアリティとQOLが関連する概念であること、高齢者の健康や疾病に対する価値観がスピリチュアリティや日常生活における健康管理自己効力感に影響を及ぼすことが明らかになっている。これらの結果は、スピリチュアルな側面に注目した看護介入のあり方について介護予防や健康維持を目標とする予防的な看護を検討する上で重要な知見であると考える。今後の課題として、健康概念の他の側面との関係や背景因子等の検討や、健康レベルの異なる高齢者を対象とした検討があげられる。
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