Research Abstract |
経済のグローバル化による看護労働への影響と太平洋沿岸諸国における看護職の労働安全衛生に関する実態調査を目的として,第1回産業看護国際ワークショップを開催した。研究課題達成のために,オーストラリア,フィリピン,タイ,韓国,香港,米国,イギリスの計7カ国,12名の産業看護研究者を招聘した。国際共同研究導入に当たって,日本を含む8カ国の研究者が,それぞれの文化、社会背景に基づく保健医療の動向,看護教育制度,看護師の雇用、離職動向,労働環境とその健康影響について報告した。その結果,英、米では,国内での看護師の不足を補う為に新興国で教育を受けた看護労働者を多く受け入れていること,逆に,フィリピンでは看護師を中東、英、米諸国に送り出していること等が明らかにされた。そして,8カ国どの国においても,看護師不足と労働環境の悪化,看護ケアの質低下,燃え尽き症候群,過重労働による疲労、メンタルヘルスの低下,作業関連疾患への罹患(腰痛),化学物質、感染性微生物への暴露,職場でのハラスメント、暴力等が共通した問題として浮上した。これらの共通問題を踏まえ,研究の方向性として,人手不足や労働環境の悪化に伴う看護職の身体、精神面への影響,患者ケアの質,及び経済的損失等,さらに患者安全への影響等について調査すること。研究計画では,国際共同研究の構築の方略,5年間の新卒看護師の追跡調査の為の理論的枠組み,各国研究メンバーの役割,質問紙の内容、項目及び必要時母国語への翻訳と妥当性の検討,共同研究を進めるに当たっての倫理申請を含む約束事等について意見交換し,それぞれの達成目標を確認して3日間のスケジュールを終了した。
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