2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトナチュラルキラーT細胞を用いた細胞免疫療法の開発
Project/Area Number |
19599004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 強志 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 講師 (70332608)
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Keywords | ナチュラルキラーT / 血液悪性腫瘍 / 細胞免疫療法 / 抑制性NKレセプター |
Research Abstract |
ヒトナチュラルキラーT(NKT)細胞の血液悪性腫瘍に対する抗腫瘍効果について検討した。NKT細胞は、CDld分子に拘束され糖脂質を認識するが、CDId分子を発現した腫瘍細胞を直接傷害することが我々も含めて報告されている。しかしCDld分子を高発現しているB細胞性腫瘍などに対して直接の細胞傷害活性がみられない場合がある。これに関して、腫瘍細胞によるNKT活性化の抑制メカニズムが考えられた。実際、NKT細胞はCDld分子を発現したCEM,MOLT4,JurkatといったT細胞性腫瘍株に対しては高い細胞傷害活性を示すが、同様にCDld分子を高発現している、RAMOS,IM9,BALL1などのB細胞性腫瘍株に対しては細胞傷害活性が認められない。これに対し、NKT細胞が発現している可能性がある抑制性のNKレセプターを介した抑制の可能性があるか否かを検討した。Va24+/Vbl1+TCRを持ったNKT細胞においては、抑制性NKレセプターであるNKG2Aの発現が確認された。またそのリガンドであるHLA-E分子の発現を調べると、細胞傷害活性がみられる細胞株のいずれもHLA-E分子を発現しておらず、またB細胞性腫瘍株を中心とするCDld分子の発現がみられるが細胞傷害活性がみられない腫瘍株においては、HLA-E分子を発現していることが確認された。このことより、腫瘍細胞株に発現するHLA-E分子は、NKT細胞の発現するNKG2Aなどの抑制性NKレセプターと相互作用し、NKTの活性化を抑制し、抗腫瘍作用からエスケープしている可能性が示唆された。今後、より解析を進め、抑制性NKレセプターに対するシグナルを阻害する等により、より効率よくNKT細胞による癌免疫療法を発展させたいと考える。
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