2007 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科腫瘍の悪性転化におけるRasシグナル経路活性化の意義の解明
Project/Area Number |
19599005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
織田 克利 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 助教 (30359608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八杉 利治 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20251267)
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Keywords | 婦人科腫瘍 / Ras / 悪性転化 / PI3K / PTEN |
Research Abstract |
【目的】Ras-PI3K (phosphatidylinositol 3'-kinase)経路は、p110α(PIR3CA遺伝子)、PTEN、K-Ras等の遺伝子発現異常により多くの癌で活性化され、細胞増殖に重要な役割を果たしている。PI3K経路の阻害剤は分子標的治療薬として魅力的な候補であるが、PI3KのClass IA触媒サブユニットp110α、β、δをいずれも阻害するため、正常組織への影響が懸念される。我々は、癌におけるPI3K経路の活性化に不可欠なp110isoformを同定し、isoform特異的な阻害剤の臨床応用への可能性を明らかにするため、p110isoform選択的阻害剤の効果を、PIK3CA/PTEN/K-Rasのいずれかに変異を有する子宮体癌・乳癌・大腸癌細胞株を用いて解析した。 【方法】子宮体癌細胞株12株のうち、PIK3CA/PTENに変異を有する5株、PIK3CA/K-Rasに変異を有する1株、PTENのみに変異を有する4株の計10株を、また、PIK3CA変異を有する乳癌細胞株5株と大腸癌細胞株2株を対象とした。PI3K経路の阻害剤として、Wortmannin、及びp110 isoformの選択的阻害剤4種類を3時間投与した後、Aktのリン酸化レベルを比較した。 【成績】PIK3CA変異株は、癌種によらず、常にp110αが優位に活性化していた。また、PTENのみに変異を有する子宮体癌細胞株(4株)でもαが優位であるものが半数で、他の2株でもαは部分的にPI3K経路の活性化に関与していた。 【意義、重要性】p110αの選択的阻害剤は、子宮体癌、乳癌、大腸癌に高い有効性をもつ可能性が示唆された。本研究をもとに、PI3K経路が活性化されている子宮体癌、乳癌、大腸癌症例において、p110α選択的阻害剤の臨床応用の可能性が期待される。
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