2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖ワクチン投与による免疫記憶成立のメカニズム解析
Project/Area Number |
19599006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
築地 信 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特任講師 (90302611)
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Keywords | 免疫学 / 免疫記憶 / 糖鎖 / 感染症 / 肺炎球菌 / ワクチン |
Research Abstract |
莢膜糖鎖を有する感染性細菌は免疫応答から逃れることにより病原性を発揮する特徴を有する。高齢者の死因トップである肺炎の最大原因菌である肺炎球菌は特徴的な莢膜糖鎖を有しており、宿主の加齢ともに弱った免疫応答から逃れ肺炎を引き起こす。莢膜糖鎖をワクチンとして投与した時には初期的に抗体を誘導できるがその後の持続年数を決定する要因については、T細胞非依存性に起こることについては議論されているが、十分な知見が得られていないのが現状である。そこで本研究はワクチンの改良法として臨床に還元できる知見を得ることを目的として、糖鎖ワクチン投与による免疫応答の解析を行った。C57BL/6マウスヘ肺炎球菌の莢膜糖鎖(Pneumococcal Polysaccharides;PPS)を投与し、誘導される特異的抗体の血清抗体価を測定した。7日目にlgMの抗体価の上昇が観察されたので、抗PPS抗体を産生するB細胞の同定を標識PPSの結合性にて検出を試みた。標識PPSは、アルカリ処理によりN-脱アセチル化を行い、サイズ分画カラムにて高分子量のものを回収し、露出したアミノ基に蛍光物質を融合させた。PPS投与マウスからB細胞を調整し標識PPS結合性を指標に特異的BCR(B細胞抗原受容体)を有するB細胞を同定した。これまでに脾臓細胞について解析したが、その結果、免疫をしていないマウスの脾臓内に結合性を有するB細胞が一部存在し、時間とともに脾臓内から減少することが明らかになった。その詳細な解析は進行中である。さらにハイブリドーマ法およびシングルセルクロ-ニング法にて抗PPSモノクローナル抗体を取得した。現在までに2個の抗体を同定しており、その抗体の特異性親和性などの特性を解析中である。これらの抗体遺伝子の配列決定および解析を行い、更なる解析のためのトランズジェニックマウスの作製準備を行った。
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