2007 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞による記憶CD8T細胞分化制御の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
19599007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩井 佳子 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特任講師 (90362467)
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Keywords | 免疫学的記憶 / 樹状細胞 / T細胞 |
Research Abstract |
記憶T細胞は体内に長期間存在して、再び同じ抗原に出会うとnaiveなT細胞よりも早くて大きな免疫反応を誘導して速やかに抗原を除去する。記憶CD8T細胞の維持機構、すなわち記憶T細胞が形成された後、maintenance phaseで比較的緩やかなスピードで細胞増殖して自己複製を続けるメカニズムに関してはIL-15やIL-7などのサイトカインシグナルが重要な役割を果たすことは既に多くの研究によって明らかにされているが、記憶T細胞が再び抗原に出会ったとき(secondary effector phase)にnaive T細胞よりも早く細胞増殖できるメカニズムについては知られていない。そこで二次反応における抗原特異的なCD8T細胞の細胞増殖を調べるため、Rockefeller大学のSteinman博士との共同研究により、in vivoで樹状細胞(dendritic cell:DC)特異的にモデル抗原(OVA蛋白質)を標的する方法(antigen delivery system)を用いて抗原特異的記憶CD8を誘導する実験系を確立した。樹状細胞に特異的に発現するendocytosis receptor,DEC-205に対する抗体にOVA蛋白質を融合したキメラ抗体を、DCを活性化する補助刺激としてanti-CD40抗体とともにC57BL/6マウスに腹腔内投与すると、OVA特異的な記憶CD8T細胞が誘導され、これらの記憶T細胞は抗原に出会うとnaive T細胞にくらべて著しく早く細胞増殖してさまざまなサイトカイン(IL-2,IFN-g,TNF-aなど)を産生し、OVAを発現したリステリアに対して感染防御能を示した。さらに記憶T細胞はnaive T細胞に比べてIL-18Rを高発現することに注目して記憶反応におけるIL-18の役割について解析を行った。するとIL-18はDCがT細胞に抗原提示を行う際にDCとT細胞間の免疫学的シナプス間隙に分泌され、IL-18ノックアウトマウスでは抗原特異的記憶CD8T細胞の増殖が野生型マウスにくらべて遅くなることが明らかとなった。これらの結果からIL-18シグナルが二次反応において記憶T細胞の増殖を加速する役割を果たしていることが示唆された(論文投稿中)。
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