2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)が凝固・線溶系因子の発現調節に果たす役割の解明
Project/Area Number |
19599008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
關谷 暁子 Kanazawa University, 医学系研究科, 助教 (10452111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 英理子 金沢大学, 医学系研究科, 准教授 (50251921)
谷内江 昭宏 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (40210281)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ-1 / 血栓 / 凝固・線溶 |
Research Abstract |
平成19年度は、HO-1が凝固・線溶系因子の発現調節に及ぼす影響をin vitroで明らかにするため、(1)HO-1欠損症患者末梢血の単球分画より作成したEpstein-Barrウイルス形質変換B細胞(1ymphoblastic ce11 1ine, LCL)を樹立し、(2)生体侵襲因子であるLPSで刺激した場合の患者LCLの凝固・線溶系因子のmRNA発現を、健常者由来LCLと比較した。検討対象は、凝固因子として組織因子(TF)、凝固阻止因子としてtissue factor pathway inhibitor(TFPI)、線溶阻止因子としてPlasminogen activator inhibitor type-1(PAI-1)を用いた。HO-1および各凝固・線溶系因子のmRNA量はRT-PCR法を用いて定量した。 その結果、患者由来LCLでは健常者由来LCLに比べて、LPS刺激後のTFmRNA発現量が10倍以上増加した。PAI-1mRNA発現量の変動は患者由来LCLと健常者由来LCLであまり変わらなかった。TFPI mRNAは健常者由来LCLでは恒常的に発現していたものの、患者LCLではまったく発現が認められなかった。TFは生体において炎症性ストレスで惹起される過凝固状態を引き起こす因子であることから、HO-1がTFの発現を抑制して血栓形成を阻害する可能性が示唆されだが、その他の因子に関しては今回の検討では不明であった。 今後、LCLの他に、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)や健常者末梢血単球を検討に加え、HO-1による血栓形成制御作用を解明し、血栓形成さらには微小血栓によって引き起こされる臓器不全に対して、HO-1を傷害部位特異的に誘導する新しい治療戦略の可能性を見出すことが望まれる。
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Research Products
(2 results)