2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)が凝固・線溶系因子の発現調節に果たす役割の解明
Project/Area Number |
19599008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
關谷 暁子 Kanazawa University, 保健学系, 助教 (10452111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 英理子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50251921)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ-1 / 血栓 / 凝固・線溶 |
Research Abstract |
平成20年度までの研究では、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いてHO-1あるいはその代謝産物が血液凝固・線溶系因子である組織因子(TF)、プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI-1)の発現を抑制、トロンボモジュリン(TM)の発現を促進することにより、血栓形成を抑制する可能性を示した。この成果を受け、平成21年度は、この調節作用がHO-1そのものによるものなのか、あるいはHO-1の代謝産物である一酸化炭素(CO)やビリルビンによるものなのかを明らかにするため、HUVECおよび健常者ならびにHO-1欠損症患者由来Epstein-Barrウイルス形質転換B細胞株(LCL)に、CO供与体であるDichlorotricarbonylruthenium(II)dimer(CORM-2)あるいはビリルビンを添加し、TF、PAI-1、TMのmRNAおよび蛋白発現量の変動を検討した。mRNA測定にはリアルタイムPCR、蛋白発現量測定にはELISA法およびウェスタンブロッティングを用いた。その結果、CORM-2あるいはビリルビンの添加により、TF、PAI-1は有意に低下し、TMは増加した。また、HO-1欠損症患者由来LCLにCOあるいはビリルビンを添加すると、p38MAPK、ERK1/2の活性化が認められた。以上の結果より、HO-1代謝産物はp38MAPKおよびERK1/2を介して、TF、PAI-1およびTMの発現を調節し、血栓形成抑制作用を示す可能性があると考えられる。 このようにHO-1による血栓形成制御作用が明らかになれば、生体侵襲時にHO-1を傷害部位特異的に効率よく誘導させるような治療戦略が、血栓形成さらには微小血栓によって引き起こされる臓器不全に対して有効であると期待できる。
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