2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗インフルエンザ薬オセルタミビルの血液脳関門透過機構とその個人差の研究
Project/Area Number |
19599023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
森本 かおり Takasaki University of Health and Welfare, 薬学部, 講師 (90401009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 琢男 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (80448886)
玉井 郁巳 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20155237)
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Keywords | 血液脳関門 / P-糖蛋白質 / オセルタミビル |
Research Abstract |
平成19年度は、オセルタミビルの中枢移行に関与するトランスポーターを特定することを目的に検討を行い、以下の成果を得た。 オセルタミビルは、P-糖蛋白質(P-gp)発現Sf9-MDR1ベシクルのATPase活性を上昇させた。P-gp高発現細胞であるLLC-GA5-COL150細胞におけるbasal-to-apical方向の輸送速度は、反対方向の輸送に比較して有意に高く、P-gp阻害剤により方向性が消失した。一方、活性代謝物であるRo 64-0802の輸送には方向性は認められなかった。さらに、排出系トランスポーターであるMRP1,MRP4,BCRP発現ベシクルを用いた検討により、オセルタミビルおよびRo 64-0802はこれらの基質にはならないと推察された。以上より、血液脳関門におけるオセルタミビルの排出方向の輸送においては、P-gpが中心的な役割を果たしており、Ro 64-0802の排出方向の輸送にはトランスポーターは関与しないことが推察された。オセルタミビルの脳への取り込み方向の検討は、不死化ラット脳毛細血管内皮細胞であるRBEC1細胞を用いて行い、何らかの輸送系の関与を示唆する結果を得た。 次に、MDR1ノックアウト(KO)マウスにおける脳移行性をwild typeマウスと比較したところ、オセルタミビルのKp(脳/血液濃度比)はwild typeに比較してKOで有意に高く、Ro 64-0802のKp値は非常に低く、系統間で差は認められなかった。さらにラットにおいて、週齢に依存したKpの低下が見られ、P-gpの発現量と逆相関していた。以上より、P-gpはオセルタミビルの脳移行性を決定する重要な要因の一つであることが明らかとなった。Pgpの機能に影響を与える要因(年齢、発現量の変化、相互作用等)がオセルタミビルの脳移行性に影響を及ぼし、中枢症状の発現に関与する可能性が推察された。
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