2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗インフルエンザ薬オセルタミビルの血液脳関門透過機構とその個人差の研究
Project/Area Number |
19599023
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
森本 かおり Takasaki University of Health and Welfare, 薬学部, 講師 (90401009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 琢男 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (80448886)
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Keywords | 消化管吸収 / PEPT1 / オセルタミビル / 相互作用 |
Research Abstract |
19年度に行った予備的な検討において、幼若ラットでは絶食により、中枢毒性発現頻度、強度が増大する傾向が認められた。このことから、何らかの輸送系がオセルタミビルの小腸からの吸収過程に関与し、血中濃度ひいては脳内濃度の個人差に関与している可能性が疑われた。また、乳汁由来成分と相互作用することから、その輸送系はペプチド輸送体であろうと推定し検証を行った。ヒト大腸癌由来細胞であるCaco-2細胞およびPEPT1安定発現HeLa細胞へのオセルタミビルの取り込みは、時間、温度依存的であり、グリシルサルコシンなどのPEPT1基質により阻害された。またオセルタミビルの取り込みは飽和性で、両細胞で同等の親和性(Km=6-8mM)を示した。また、PEPT1の寄与と乳汁成分との相互作用をin vivoで検討する目的で、オセルタミビルを水またはミルク、ミルク相当量のカゼイン、ミルクペプチド相当量のグリシルサルコシンと共にラットに経口投与し、血中濃度推移を検討した。その結果、オセルタミビルの血中濃度は、ミルク、カゼイン、グリシルサルコシンで劇的に低下することが分かった。さらに、幼若ラットにオセルタミビル経口投与後の血中および脳内濃度を、ミルク摂取、非摂取群で比較したところ、ミルク摂取群ではミルク非摂取群に比較して、血漿、脳内濃度共に有意に低く、血漿、脳内濃度共に10倍以上の差があることが明らかとなった。以上の結果から、オセルタミビルの消化管吸収にPEPT1が大きな寄与を果たしていることが示唆された。このことは、インフルエンザ罹患時、食欲減退などにより絶食状態となった乳児における血中および脳内濃度は、非絶食で行われている臨床試験から予想されるよりもはるかに高い可能性があることを示唆しており、絶食時の投薬に注意が必要であることを示唆している。
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Research Products
(6 results)