2007 Fiscal Year Annual Research Report
microRNAのエピジェネティック制御を介した胃がんの新規予防・治療法の開発
Project/Area Number |
19599024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎藤 義正 Keio University, 医学部, 助教 (90360114)
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Keywords | microRNA / エピジェネティクス / DNAメチル化 / ヒストン修飾 / H.pylori / 胃がん |
Research Abstract |
microRNA (miRNA)は21-25塩基程度の小さな非コードRNAであり、標的遺伝子の制御を介して疾患の発生・進展に重要な役割を果たしている。研究代表者らはDNAメチル化やヒストン修飾などのエピジェネティクスによる機序によって制御されているmiRNAを同定するために、胃がん細胞株をDNAメチル化阻害薬とヒストン脱アセチル化酵素阻害薬で処理した後、miRNAの発現変化をマイクロアレイによって網羅的に解析した。有意な発現変化を認めた多くのmiRNAが染色体19番上の反復配列であるAlu配列近傍に位置しており、エピジェネティック治療にて、その発現が著明に上昇した。これらのmiRNAの標的はMCL1がん遺伝子であることが示され、エピジェネティック治療によるAlu配列に関連したmiRNAの発現誘導が胃がんの新たな予防・治療戦略となることが示唆された。 また、研究代表者らはH.pylori感染後40週のマウス胃粘膜のmiRNAマイクロアレイ解析の結果、筋組織特異的miRNAの発現が有意に低下することを確認した。これらのmiRNAはhistone deacetylase 4 (Hdac4)などを標的として筋細織の分化・増殖を制御しており、マウス心肥大モデルの報告で、これらのmiRNA発現が有意に低下し心筋分化を抑制することで心筋肥大を誘導することが示唆されている(Nat Genet. 38:228, 2006)。研究代表者らもH.pylori感染マウス胃の炎症の強い部位での平滑筋の有意な肥大を確認しており、H. pylori感染に伴う慢性炎症により筋組織特異的miRNA発現が低下し、標的となるHdac4発現が上昇し平滑筋分化が抑制され、胃の平滑筋が肥大することが示唆された。
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