2008 Fiscal Year Annual Research Report
北欧における大学運営、大学評価への学生参画システム検証
Project/Area Number |
19601005
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀井 祐介 Kanazawa University, 大学教育開発・支援センター, 教授 (30304041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青野 透 金沢大学, 大学教育開発・支援センター, 教授 (00202490)
西山 宣昭 金沢大学, 大学教育開発・支援センター, 教授 (10198525)
早田 幸政 大阪大学, 大学教育実践センター, 教授 (30360738)
渡邊 あや 熊本大学, 大学教育機能開発総合研究センター, 准教授 (60449105)
上倉 あゆ子 大阪大学, 外国語学部, 非常勤講師 (70467520)
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Keywords | 学生参画 / 大学運営 / 大学評価 / 北欧 |
Research Abstract |
本研究では、北欧諸国における学生参画の法的根拠、仕組み、運用実態、学生参画による教育改善効果、大学評価活動における学生の果たしている役割および日本における学生参画の取り組みについて調査を行った。北欧諸国では、大学法、学則等により、大学理事会構成員に学生代表を入れることが規定されている。学生代表は、他の理事会構成員と同じ権限、責任を持っており、理事会、教授会、教務・学生委員会などいろいろなレベルの会議体に学生が参画し、カリキュラムなど教育について議論されるため、教育の質向上に役立っている事実を確認出来た。また、一部の国においては、学長選出に学生の意向が大きく影響する制度を備えているところもあった。これらの大学運営へ関与する学生代表は、学生団体から選出されている。スウェーデンやフィンランドなどでは、学生団体への登録が義務化されている。また、北欧諸国の学生団体の運営には、大学または国から何らかの形で資金が提供されている。大学評価に関しても、各国で行われている高等教育機関への評価活動に学生が参画している事実おおび運用面で大学活性化に効果的であることが確認出来た。フィンランドでは、(1)教授、(2)その他の教育・研究職員及び事務職員、(3)学生という三つのグループの代表がほぼ均等な割合で含まれている組織で行うこと、すなわち「三者自治」との考えが大学運営において重要なポイントとなっている。日本でも、北海道医療大学において、大学運営への学生参画事業として、Student Campus President制度(通称:キャンパス副学長制度)が実施されている。このように、北欧においては、伝統として学生参画制度が維持され、うまく運用されている。それには、初等教育の段階から学生参画がある程度実施されていることも大きな影響を持っていると考えられる。今後、日本においても、何らかの形での学生参画を実現させることが、学生主体の教育推進、学生の成長促進、社会存在としての責任と自覚の点で有効であると思われる。
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