2008 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイド系鎮痛薬の生体作用における神経型カルシウムチャネルの役割
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19603002
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
栗原 崇 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60282745)
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Keywords | オピオイド / モルヒネ / 鎮痛 / 鎮痛耐性 / 電位依存性カルシウムチャネル / cDNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
R型Caチャネル欠損マウス(本マウスではモルヒネの鎮痛効果の増強、および鎮痛耐性獲得の減弱が認められる)中脳・延髄部を用いたcDNAマイクロアレイ解析より、モルヒネの鎮痛効果や鎮痛耐性獲得の調節に関連することが示唆される十数種類の遺伝子群が選別された。本年度は昨年度と異なり、鎮痛耐性を形成する野生型マウスではmRNA発現量減少を示すが、欠損マウスではその減少が抑制されていた遺伝子Bに着目し、モルヒネの鎮痛効果および鎮痛耐性形成との関連について検討した。この遺伝子産物はあるタンパク質リン酸化酵素と機能複合体を形成することが知られている。このリン酸化酵素の阻害剤は市販されており入手可能であったので、阻害薬を腹腔内および脳室内へ単回投与し、モルヒネの急性鎮痛効果に対する影響を検討したところ、腹腔内投与(0.0l-1 mg/kg)自体は急性鎮痛効果を持たず、また急性のモルヒネ鎮痛効果に影響を与えなかったが、脳室内投与では1 fmolでモルヒネの鎮痛効果を有意に抑制した。一方、モルヒネの鎮痛耐性形成に対する影響を腹腔内反復投与によって検討すると、濃度依存的に耐性形成を促進した。以上の結果から、モルヒネ鎮痛耐性獲得を促進する新たな情報伝達経路の存在が示唆され、現在このリン酸化酵素の標的タンパク質の同定を試みるため、2次元電気泳動法を用いたプロテオミクス解析を検討している。またモルヒネ鎮痛耐性形成を促進する本遺伝子産物は、本研究の目的の1つであるモルヒネの止瀉作用(モルヒネによる便秘は疼痛管理の際、初期から問題になる代表的副作用)に耐性形成を獲得させる1つの標的分子となる可能性がある。そこで次年度はマウスの腸管運動に対する効果の検討する予定である(論文投稿中のため具体的な遺伝子名等の名称をふせています)。
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