2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19603004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片渕 俊彦 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 准教授 (80177401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 恵 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10140641)
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Keywords | 慢性疼痛 / 情動 / 学習 / リアルタイムRT-PCR / サイトカイン / 脊髄後角 |
Research Abstract |
急性あるいは慢性的な疼痛をコントロールすることが困難な理由の一つに疼痛どいうストレス刺激によって不安、恐怖、およびうつなどの情動が発現し、それらが学習記憶されることで感覚認知の鋭敏化や遷延化を引き起こしていることが考えられる。従って痛覚を受容する中枢神経系として、視床や大脳皮質感覚野以外に、視床下部や、扁桃体、海馬、および前帯状回などの辺縁系の重要性が示唆される。本年度の本研究の目的は、(1)情動や学習に関与していることが明らかになってきた脳内サイトカインが、これらの痛覚関連学習時において、どのような産生動態を示し、神経系に作用しているのか、および(2)痛覚刺激時の上行性モノアミン系による学習、あるいは条件づけの修飾機序、について明らかにすることであった。そのため、まず、フロイントの完全アジュバントのサスペンジョン溶液をラットの足底部に皮下注した後、von Freyテストで痛覚過敏が発現しているのを確認した。その後、ラットの脊髄、および大脳を取り出し、凍結保存した。 神経組織内のIL-1β、IFN-α、TNF-α、IL-6およびそれらの関連物質であるサイクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)、1κB-βなどのmRNAをリアルタイムキャピラリーRT-PCR法で定量するため、それぞれの物質のセンスおよびアンチセンスプライマーを作成し、定量のための最適条件を検討した。大脳皮質の一部を用い、通常のRT-PCR法で得られたcDNAを精製し、濃度希釈系列を作成してPCRによる増幅の標準曲線を作成した。これを用いて、次年度にわたって、凍結した神経組織を、脊髄については後角表層(IおよびII層)後角深層(III〜V層)、さらに、大脳については視床下部や海馬、扁桃体などからパンチアウトした微少標本のmRNAの定量を行う予定である。
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