2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19603004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片渕 俊彦 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 准教授 (80177401)
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Keywords | 感染ストレス / 辺縁系 / 下行性セロトニン系 / リアルタイムRT-PCR / サイトカイン / 脊髄膠様質 |
Research Abstract |
急性あるいは慢性的な疼痛をコントロールすることが困難な理由の一つに感染や疼痛というストレス刺激によって不安、恐怖、およびうつなどの情動が発現し、それらが学習記憶されることで感覚認知の鋭敏化や遷延化を引き起こしていることが考えられる。従って痛覚を受容する中枢神経系として、視床や大脳皮質感覚野以外に、視床下部や、扁桃体、海馬、および前帯状回などの辺縁系の重要性が示唆される。本年度の本研究の目的は、(1)情動や学習に関与していることが明らかになってきた脳内サイトカインが、これらの痛覚関連学習時において、どのような産生動態を示し、神経系に作用しているのか、および(2)痛覚刺激時の下行性モノアミン系による侵害刺激受容機構の修飾機序を明らかにするため、脊髄スライス標本を用いて脊髄膠様質ニューロンに対するセロトニンの作用を検討した。 研究成果を列挙すると、(1)神経組織内のIL-1β、IFN-α、TNF-α、IL-6およびそれらの関連物質であるサイクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)、IκB-βなどのmRNAをリアルタイムキャピラリーRT-PCR法で定量するため、それぞれの物質のセンスおよびアンチセンスプライマーを作成し、定量のための最適条件を検討した。その結果、poly I:Cによる感染ストレス時に、視床下部室傍核、視索前野および帯状回において、IFN-α、IL-1βおよびIκB-βのmRNA発現が増強していることが明らかになった。(2)脊髄後角膠様質ニューロンに対し、セロトニンが5-HT1A受容体を介して、K^+イオンチャンネルの開放による抑制を起こすこと、および膠様質のGABA含有抑制性ニューロンに対し5-HT3受容体を介して活動を上昇させ抑制性シナプス後膜電流を増加させることなどが明らかになった。これらの作用は、侵害受容機構において、セロトニン下行性鎮痛系の作用機序をになうものと考えられた。
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Research Products
(11 results)