2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛モデルラットにおけるP2X受容体を介した痛覚情報伝達制御機構の解析
Project/Area Number |
19603007
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中塚 映政 Saga University, 医学部, 准教授 (30380752)
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Keywords | 疼痛学 / 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
末梢神経の傷害によって脊髄後角内で活性化したミクログリアにおいて、P2X_4受容体の発現増加が起こり、最終的に神経因性疼痛を惹起するという大変興味深い知見が得られた。しかしながら、末梢神経の傷害によって活性化した脊髄内のミクログリアがどのような機序で脊髄後角神経細胞の興奮性に影響を与えるか未だ不明である。今回、細胞外ATPによって誘起されたミクログリアの活性化に伴う脊髄後角神経細胞の興奮性の増強に種々のサイトカインやケモカインが関与するかどうかを検討するために、正常ラットから脊髄スライス標本を作製して、近赤外線顕微鏡を用いて脊髄後角神経細胞からホールセル・パッチクランプ記録を行った。正常ラットの脊髄スライス標本にサイトカインであるIL-6とIL-1βを急性的に適用して、1)膠様質ニューロンの保持膜電流、2)シナプス前終末からのグルタミン酸の放出によって引き起こされる自発性の興奮性シナプス後電流(EPSC)に及ぼす作用について調べた。IL-6あるいはIL-1β5分間灌流投与しても膠様質ニューロンの保持膜電流に影響しなかった。また、IL-6を5分間灌流投与してもEPSCの発生頻度ならびに振幅には影響は無かったが、IL-1βを5分間灌流投与するとEPSCの発生頻度ならびに振幅は30分以上にわたり著明に増強した。これらの実験から、サイトカインのIL-1βは急性的に脊髄後角における興奮性シナプス伝達を制御することを明らかにした。
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Research Products
(51 results)