2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19603008
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
植田 睦美 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 研究支援員(科学研究) (30437834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60380987)
藤田 亮介 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70380855)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / 神経因性疼痛 / 脱髄 / スプラウティング / MAG / アロディニア / ミエリンタンパク質 / Ramak束 |
Research Abstract |
本研究はNSAIDsやモルヒネの効かない慢性難治性の神経因性疼痛に見られる脱髄現象に着目し、その分子メカニズムを解明するとともにそれに伴って生ずるスプラウティングの分子機構を解明することにある。スプラウティングはミエリンを形成しているシュワン細胞からの突起抑制機構が解除されることによるとの考えのもと、鍵分子となるmyelin-associated glycoprotein (MAG)の発現に特に注目した。神経因性疼痛モデルとして用いられる坐骨神経部分結紮障害後1週間後に坐骨神経、脊髄神経、後根における脱髄を透過型電子顕微鏡、トルイジンブルー染色、MAG免疫染色により解析したとき、坐骨神経と後根のみに脱髄が観察されたが、脊髄神経には観察されなかった。しかし、傷害性神経因性疼痛の原因分子であるリゾホスファチンジン酸(LPA)の受容体(LPA1受容体)遺伝子欠損マウスでは後根のみの脱髄が消失した。また、後根の中でも脊髄に近傍の領域のみが脱髄やMAG発現低下を示した。この事実はWestern blot解析においても定量的に証明できた。電子顕微鏡解析においては無髄侵害性知覚神経C線維が認められるRamak束において傷害後有髄A線維と無髄C線維が直接接触する形態学的観察もなされた。脱髄の機構としてミエリンタンパク質の急速分解が観察され、関与する蛋白質分解酵素の同定に成功し、その特異的阻害剤の効果も確認できた。さらにはその阻害剤が神経因性疼痛を遮断することも明らかにできた。一方、非侵害性Aβ神経刺激による神経伝達をリン酸化ERK1/2で評価したとき、脊髄後角における入力は通常観察されないが、傷害後1週間において疼痛伝達に関連する表層領域への入力が確認できた。これはスプラウティングを機能的に示唆する事実である。この事実はLPA1受容体欠損動物において消失した。
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Research Products
(11 results)