2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規タキキニンペプチドの疼痛系への効果に関する研究
Project/Area Number |
19603009
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西森 利数 University of Miyazaki, 医学部, 教授 (20112211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 哲也 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20264369)
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Keywords | 神経科学 / 生理活性 / 引っ掻き行動 / 熱痛覚過敏 / 脳・神経 |
Research Abstract |
平成19年度は、カテーテルを留置したラットを実験材料に用い、このカテーテルを通じてエンドキニンC/Dを髄腔内に投与することで、このペプチドの薬理作用について検討した。 本件研究には、サブスタンスP(SP)、ヘモキニン-1(HK-1)、エンドキニンA/B(EKA/B)、エンドキニンC/D(EKC/D)、およびEKC/DのC-末端のLをMに置換した[Met^<12>]-EKC/Dを用いた。また、これらのペプチドの髄腔内投与により誘発される効果は、足による引っ掻き回数を測定することで、また足底への侵害性熱刺激による足引っ込め反射の潜時を測定することで評価した。 SPおよびEKA/Bを髄腔内に投与すると、引っ掻き回数は顕著に増加し、足引っ込め反射の潜時は有意に減少した。このことは、これらのペプチドの髄腔内投与により疼痛関連行動と熱痛覚過敏が誘発されることを示している。一方、EKC/Dの単独投与では、引っ掻き行動および足引っ込め反射の潜時に変化は認められなかった。しかしながら、このEKC/Dの前投与後にSPまたはEKA/B投与により誘発される引っ掻き行動および熱痛覚過敏は有意に抑制された。このことは、EKC/DはSPやEKA/Bによる効果を抑制することを示し、EKC/DはSPのアンタゴニストになりうることを示唆している。また、EKC/Dを前投与すると侵害性熱刺激によるc-Fosタンパク質の発現も有意に抑制した。 次に、EKC/DのC-末端のLをMに置換した[Met^<12>]-EKC/Dを髄腔内に投与したところ、EKC/Dの抑制効果は消失し、逆にSPやEKA/Bと同様に熱痛覚過敏を誘発した。 これらの結果をまとめると、EKC/Dの抑制効果はこのペプチドのC-末端にあるLeuが重要な役割を果たしているといえる。 上記の結果は、Brain Res.,1165:71-80,2007.に発表済みである。
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