2009 Fiscal Year Annual Research Report
難治性疼痛へのガンマナイフ治療効果の機序を明らかにする
Project/Area Number |
19603017
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
川上 順子 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 教授 (40075601)
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Keywords | 難治性疼痛 / ガンマナイフ / 下垂体 / 三叉神経痛 / マクロファージ |
Research Abstract |
本研究は、ガンマナイフによる鎮痛効果の機序を基礎的な研究により解明し、三叉神経痛をはじめとする難治性疼痛へのより安全で確実なガンマナイフ治療を確立することにより患者負担を軽減させることを最終目的とする。 1)アロディニアモデルへのガンマナイフの鎮痛効果 三叉神経痛のモデルとして、慢性疼痛モデルラットの末梢神経にガンマナイフを照射し、疼痛行動に与える影響を検討した。モデルラットへのガンマナイフ照射2週間後より鎮痛効果が出現した。さらに、照射部位にマクロファージが集積し、これによりmyelin debrisの除去が促進されることが判明した。この時期と鎮痛効果が出現する時期が一致する事から、集積したマクロファージにより神経損傷の修復が促進され、アロディニアからの早期の離脱が誘発されたことが示唆された。 2)ガンマナイフ下垂体照射による鎮痛効果の機序解明 (1)下垂体へのガンマナイフ照射 ラット下垂体へのガンマナイフ照射方法を確立し、高線量(180Gy)の照射により、3ヵ月で下垂体重量が減少することが判明した。また、アザン染色により下垂体重量減少の要因が酸好性細胞の減少によることも判明した。下垂体前葉の細胞種によりガンマ線の放射線感受性が異なるという新たな知見が得られた。今後、実際の治療線量(120Gy)照射における行動・組織学的解析を行い、鎮痛効果発現メカニズムの解明を行なう。 (2)痛み刺激による下垂体の組織学的変化 急性痛及び慢性疼痛(炎症性、神経因性)における下垂体の変化を、c-Fosタンパク質の発現により検討した。急性痛及び炎症性慢性疼痛では下垂体前葉細胞(主にACTH産生細胞)にc-Fosの発現上昇が認められたが、神経因性疼痛には認められなかった。炎症性疼痛では炎症性サイトカインの血中濃度が上昇することから、サイトカインと下垂体c-Fosタンパク質発現との関連性について今後解析を行う。
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