2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛に関る脊髄後角神経回路の神経可塑性発現機構における一酸化窒素の役割
Project/Area Number |
19603018
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松村 伸治 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (70276393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Keywords | 神経因性疼痛 / 脊髄 / 神経可塑性 / 一酸化窒素 / グルタミン酸 / NMDA受容体 / イメージング / マウス |
Research Abstract |
脊髄における神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の活性化による一酸化窒素(NO)産生の増加が神経因性疼痛の維持に重要であることを明らかにしてきた。本研究では、脊髄での神経可塑性を誘導するNMDA受容体-NO経路の機能的、可逆的変化について、ノックアウトマウスや各種プロスタグランジン(PG)、オピオイド、グルタミン酸アナログを用いて検討した。nNOS活性という生化学的な変化をNADPHジアホラーゼ活性を用いた酵素組織化学により組織学的に可視化、定量化して、それらのNO産生を神経因性疼痛の客観的指標にすることを成功し、さらに、NO自身が逆行性メッセンジャーとしてシナプス前終末に働きnNOS活性にフィードバックをかけていることを明らかにした。 NMDA受容体へのNOSの移動による物理的な調節の神経因性疼痛への関与の解析nNOSはNMDA受容体にPSD95タンパクを介し結合して活性化される。その移動について、細胞レベルでの解析を行った。我々は、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)とNMDAが相乗作用で膜への神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の移動を引き起こして、PC12細胞でNO産生を増強することを明らかにしてきた。我々はnNOSのN末端に蛍光タンパク質(YFP)を付けた変異体(nNOSNT-YFP)をPC12細胞導入し、その移動を追跡した。PACAPとNMDAの相乗作用で引き起こされるnNOSNT-YFP移動は、プロテインキナーゼA(PKA)、プロテインキナーゼC(PKC)とSrcキナーゼの抑制剤によってブロックされた。そして、PACAPの効果は、PKAとPKC活性化することにより観察された。nNOSのPSD-95認識のためのβフィンガー領域はnNOSのPSD-95への移動に必要であることを明らかにした。PACAPがその受容体PAClを介してPKAとPKCを活性化することによりnNOS移動を引き起こしたことを明らかにした。
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