2008 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性コリン作動性神経を標的とした神経因性疼痛伝達機構の解明と治療薬の開発
Project/Area Number |
19603022
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
本多 健治 Fukuoka University, 薬学部, 助教 (60140761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右田 啓介 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10352262)
斎藤 亮 福岡大学, 薬学部, 講師 (80122696)
高野 行夫 福岡大学, 薬学部, 教授 (50113246)
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Keywords | 神経因性疼痛 / アロディニア / 前頭部帯状回皮質 / ムスカリン受容体 / ミクログリア / コリン作動性神経 / 坐骨神経部分損傷 / 脊髄 |
Research Abstract |
本年度は、19年度に引き続き坐骨神経部分損傷による神経因性疼痛モデルラットとマウスを作製し、神経因性疼痛伝達における脳内コリン作動性神経の関与をコリン作動性神経の伝達物質アセチルコリンの受容体であるムスカリン受容体に注目して、ムスカリン受容体サブタイプとその脳内作用部位の特定につい検討した。さらに、神経因性疼痛発症に対する脊髄グリア細胞の役割についても検討した。 【成果・考察】 坐骨神経部分損傷よる神経因性疼痛由来の非侵害性機械的刺激に対する異痛症(アロディニア)は、ムスカリン受容体作動薬の前頭部帯状回皮質内投与により抑制された。さらに、選択的ムスカリン受容体拮抗薬を用いた実験から、その抑制効果はムスカリンM_1受容体を介することが明らかになった(投稿準備中)。これらの成果は、前頭部帯状回皮質のムスカリンM_1受容体が神経因性疼痛伝達抑制に関与することを初めて明らかにするとともに、脳内での疼痛伝達抑制機構の仕組みを考える上で重要な情報を提供する。 坐骨神経部分損傷後、損傷側の脊髄でミクログリアよびアストロサイトの著明な増加とアロディニア疼痛が認められた。これらの脊髄グリア細胞の増加とアロディニア疼痛は、神経損傷前およびアロディニア発現後のミクログリア活性抑制薬ミノサイクリン脊髄内投与で有意に抑制された(第82回日本薬理学会年会発表)。これらの結果は、ミノサイクリンが神経因性疼痛の新たな治療薬としての可能性を示唆する。さらに、これの結果は21年度で計画している神経因性疼痛発現における脳内グリア細胞の役割を検討する上で貴重な情報を与える。
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