2008 Fiscal Year Annual Research Report
経済的・技術的秩序の危機と多元的再編-仏英帝国の組織史的遺産と発展途上国の革新
Project/Area Number |
19610001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高井 哲彦 Hokkaido University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80312338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 紀子 静岡大学, 国際交流センター, 准教授 (80432201)
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Keywords | 秩序 / 危機 / フランス / 商工会議所 / 技術教育 / 帝国 / 植民地 / 経済史 |
Research Abstract |
旧仏植民地では、旧英植民地に増して現在も秩序危機が頻発するのはなぜか。本研究では、旧仏植民地の秩序が、植民化、独立戦争、政権交代・内戦などの危機を経て、多元的に再編される経緯を経済・技術の組織史的遺産と革新の視点から考察した。(1)経済的秩序については、文書史料収集と聞き取り調査を行った。(1-1)文書史料は、マダガスカル・カンボジア.タイの国立文書館で収集した。とくにマダガスカル国立文書館で半世紀分の商工会議所史料を発見し、前半部の完全複写に成功した。同国から文部科学省奨学生受け入れを決定し、クーデター発生後も研究継続の目処がついた。(1-2)聞き取り調査は、マダガスカル・カンボジア・ラオスの商工会議所事務局長と面談した。とくに商工会議所会頭・国会議員・商務副大臣・革命政権幹部を歴任したラオス財界人(85歳)の聞き取り調査と回想録入手に成功した。植民地時代・王国時代・社会主義革命・経済自由化を生き抜いた稀有な証言である。(2)技術的秩序については、仏技術史の泰斗と共同研究を行うと同時に、仏領インドシナに関する史料を収集した。(2-1)仏領北アフリカについては、アンドレ・グルロン国立パリ社会科学高等研究院教授と仏技術教育セミナーを東京・名古屋・大阪で共同開催し、欧州と比較ができた。(2-2)仏領カンボジアに関しては、カンボジア国立文書館で史料収集を行うと同時に、希少な同時代文献の入手に成功した。(3)その成果は、日仏経営史会議・仏技術教育セミナー等での報告4本およびDP論文2本、そして『Dernivatives Japan』記事5編にまとめた。(4)旧仏植民地の20世紀史は、植民化、脱植民化、再編の3時代に大別できる。各国秩序の危機と再編は、経済・民族・歴史等の旧植民地側の特性、政治・経済・教育等の宗主側の制度に加え、両者間の相互交渉と時代間の連続性が明暗を分ける。
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Research Products
(10 results)