Research Abstract |
本年度は,新潟弁護士会,坂東克彦法律事務所における現地調査により,一次資料の保存,整理,分類を行った。10万ページを越えると思われる一次資料について,これまでの調査活動により,およそ半分ほどの整理が終わったところである。整理の済んだ坂東資料については,新潟県立「環境と人間のふれあい館」の協力により,同館において逐次公開されており,同館の来訪者が堅実に推移し啓蒙活動が活発に行われていることからしても,本件研究活動成果の一部は資料公開を通じて社会に還元されていると言うことができる。 本年度の研究成果の発表として,論文「法の失敗-水俣病発見50周年に寄せて」,および同,補論,として公表され,法律時報79-13(2007)学会回顧環境法において積極的に取り上げられた。また,本年度後半の研究成果は,「病像論再考-水俣病事件覚書」として環境法政策学会,2008年度学術大会分科会に投稿し,口頭発表に採用された。これは,公害事件の解決に際し,行政庁が病像論に固執するあまり,裁判所の判断と齪齬を来たすこととなり,事件解決と社会秩序形成が十分に実現できないという意味での"法の失敗"の原因となったことを,明らかにするものである。"
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