2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19610004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田口 一博 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 研究拠点形成特任教員 (20376411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 昌樹 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10244625)
礒崎 初仁 中央大学, 法学部, 教授 (40349212)
伊藤 正次 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (40347258)
金井 利之 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40214423)
亀井 源太郎 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (90305409)
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Keywords | 不祥事 / 社会鉄序 / 法令遵守 / 自治体 / 情報公開 |
Research Abstract |
平成19年度は自治体不祥事に関する情報収集を中心に行った。この1年間も、多くの自治体不祥事が公表された。近年の情報公開に対する考え方の変化に伴い、不祥事への初期対応は関係者の「処分」から「早期公表」へと移行していることが仮説しうる。それは汚染・不衛生食品や個入情報保護に代表される情報処理システムからの情報流出に代表される、被害の拡大を防止するため、早期に事実公表を行うことが受け入れられつつあるから、とも言えるようでもある。いくつかの自治体では不祥事に対応するためのマニュアルがつくられつつあり、それが危機管理に関する基本的な対処指針の策定を求めた災害対策や国民保護法制からも参照されている等、不祥事対応を類型化するための方向性も見いだされてきた。 しかしながら自治体は自ら条例を制定する等、法令を制定する主体でもある。したがって単に法令を遵守しているからと、その結果起こった「事故]について免責されるというわけではなく、なぜ地域に必要な条例等を整備しなかったか、というメタレベルでの責もまた、負わなければならない主体なのである。自らの不祥事に引き付けて考えれば、不祥事を予防するためのシステム設計、つまり不祥事予防・対応の「法化」が十分ではなかったこと自体が、さらに深刻な不祥事となるわけである。 平成20年度以降の研究にあたっては、引き続き不祥事関係事例の収集に努めるとともに、不祥事に向き合う体制についても継続的に情報収集を進めたい。また、社会的風潮における厳罰化の方回は不祥事対応にも及んでいる。例えば「被害者救済」のために自治体不祥事の当事者に退職金を交付するという考え方は姿を消しているが、原因者を厳罰に処することはともかく、社会的な制裁を加えることと、被害者を救済することとは、決して同じではない。社会秩序とは何のために保たれなければならないのかにも留意しつつ、今後の研究にあたりたい。
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Research Products
(20 results)