2008 Fiscal Year Annual Research Report
博物館の評価方法としてのビジタースタディーに関する研究
Project/Area Number |
19611009
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
西 源二郎 Tokai University, 海洋研究所, 教授 (20102858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 一興 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10194268)
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Keywords | 博物館学 / 展示評価 / ビジタースタディー / 観覧行動 / 水族館 / 自然史博物館 / 科学館 / 博物館体験 |
Research Abstract |
近年、博物館学においては、博物館評価が課題となっており、なかでも、博物館特有の情報伝達手段である、展示評価のあり方が課題となっている。本研究では、ビジタースタディー(来館者の観覧行動調査)が、これらの課題を解く一つの手段となりうることを明らかにし、博物館学研究領域の一分野として位置づけることを研究目標とした。そのために、環境と観覧行動との対応関係に注目し、今年度は展示環境や展示手法などの異なる3つの博物館において、観覧者の行動調査を行った。なお、成果の一部を世界水族館会議にて報告し、中国の水族館における観覧行動についても視察を行った。 調査はいずれもアンケート調査(聞取り調査、事後調査を含む)と、観覧時の行動追跡調査をあわせて実施した。東海大学海洋科学博物館では、水槽展示室の一部で展示改装が行われたので、その効果を検証した。改装が行われた円柱水槽室では、展示評価が上がるとともに、観覧時間も増加した。東海大学自然史博物館では、離れて配置されていた2つのハンズ・オン展示を並べて配置(集中型)した場合の、観覧行動に及ぼす影響について調査した。団体利用者(小学生)では、関心の移り変わりが速いため通り過ぎると気付かずに観覧を終えるが、一般利用者(大人を含む家族)では、全てを見ようとするために集中型では展示同士を比較することへの誘導が起こりやすくなった。日本科学未来館では、地球環境をテーマとした展示スペースで、観覧の前後で、環境に関連した連想語を聞取り、連想語が変化した観覧者群と、変化しない観覧者群の観覧行動を比較した。変化した観覧者群は変化しない観覧者群よりも平均観覧時間が長く、観覧回数も多くなる傾向が見られた。以上のことから、観覧行動(観覧時間や観覧回数)が観覧効果の指標となることを示唆していると考えられる。
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