2009 Fiscal Year Annual Research Report
博物館・科学館を中心とした教育現場で利用できる触媒教育プログラムの開発と実践
Project/Area Number |
19611016
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
若林 文高 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 理工学研究部, 研究主幹 (30158589)
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Keywords | 触媒 / 理科教育 / 化学教育 / 中等教育 / 固体酸 / 色素合成 / グリーン・サステイナブル・ケミストリ |
Research Abstract |
今年度は、最終年度として、固体酸(ゼオライト)による色素合成のとりまとめを行い、さまざまな場所でより広い年齢層に実施し、より簡便にかつより安全に実験できるようにした。博物館の実験講座では、高校生向け、教員向けの講座で実施し、これまでに改良を加えた方法でこの年齢層では失敗なく所定の結果が得られることを確かめた。また、当館および他の科学館で実施された公開イベントで、自ら実施し、もしくは他の研究者による実施に助言をし、小学校低学年でも、触媒の前処理を行っておけば、安全にほぼ失敗なく実験できることを確かめた。このように作成されたマニュアルを使うことによって、だれにでも安全に実験指導ができるようになり、触媒研究者に一般向け触媒実験としてよく知られるようになった。また、従来の濃硫酸を触媒とした合成法では、生成物溶液に濃硫酸が残っているので、塩基性条件下で生成物の蛍光および呈色を確認するためには比較的濃度の高い強アルカリ溶液を用いる必要があったが、ゼオライトを触媒とすると低濃度の強アルカリ溶液でも蛍光と呈色が確認でき、より実験が安全になった。特にフェノールフタレインの呈色ではアルカリ濃度が高いと退色が速かったが、アルカリ濃度を低くすることにより、退色速度を格段に抑えることができた。また、フルオレセインの蛍光強度は励起光の波長に依存し、青・緑・赤の3色の発光ダイオード(LED)を用いると簡便にこれを確認でき、青LEDでは蛍光が強く、緑LEDでは蛍光が弱く、赤LEDでは蛍光が全く観察されないことがわかった。このように合成したフルオレセインを使って、励起光と色素の吸収波長、蛍光との関係を考察できることを示した。このように、本教材を用いて年齢層に応じて、触媒による色素の合成から,合成された色素を使った応用実験まで、総合的に使える教材とすることができた。
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Research Products
(1 results)