2007 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性天然ガス鉱床における微生物メタン生成のために利用される堆積有機物の解明
Project/Area Number |
19612003
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉岡 秀佳 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (30415765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 将 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究グループ長 (70357101)
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Keywords | 天然ガス / 地球化学 / 生物圏現象 |
Research Abstract |
本研究では、水溶性天然ガス鉱床における微生物によるメタン生成プロセスに注目し、地下における微生物活動によってどのような堆積有機物が分解されメタン生成に利用されているのか解明することを目的としている。 本年度は、まず、千葉県茂原市において採取されたボーリングコア試料を用いて、嫌気条件を保ったまま地下環境に近い温度条件で培養実験を行った。その結果、培養開始後100日以上経過した後、急激なメタン生成が起こる現象を発見した。生成されたメタンの炭素量は、堆積有機物炭素量の数%から20%近くに相当する。これらの値は、これまで千葉や新潟のガス会社の坑井で採取されたスラッジ堆積物を用いた培養実験において観察されたメタン転換率と同程度である。メタンの炭素同位体比を分析したところ、スラッジやコア試料の堆積有機物の炭素同位体比に近い値を示したことから、微生物によるメタン生成の際に、急速に堆積有機物を分解したために炭素の同位体効果が小さくなったと解釈される。観察されたメタン生成は、地下で実際に起こっている可能性は小さいが、地下の微生物が現地において生成することのできるメタンのポテンシャル量を示していると考えられる。 また、培養実験に用いたスラッジやコア試料の堆積有機物の有機物分析を行った(解析中)。途中経過を以下に記す。ロックエバル分析等のバルク分析の結果、タイプIIIに分類される高等植物由来のケロジェンを含有すること、また、有機溶媒による抽出分析の結果、炭素数17から40までのn^<->アルカンや、炭素数12から18の脂肪酸が主要な成分として検出された。今後は、これらの成分が培養後にどう変化しているか調べる予定である。
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