2008 Fiscal Year Annual Research Report
携帯コンテンツのライフサイクル管理と知的財産活用に関する研究
Project/Area Number |
19613005
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
小見 志郎 Prefectural University of Hiroshima, 経営情報学部, 教授 (90405506)
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Keywords | ケータイコンテンツ / 知的財産マネジメント / 疎結合の関係性 / ビジネスモデル |
Research Abstract |
本研究は、iモードを対象に、ケータイコンテンツのライフサイクル管理とそこにおける知的財産マネジメントの活用を分析することを目的とした期間2年間の研究である。まず、ケータイコンテンツ市場の成長とカテゴリーの変遷をもとに、ケータイコンテンツ市場への多様な事業参入の分析から先行者利益が確保されていることが実証的に明らかになった。そのコンテンツ競争市場における模倣障壁は、人気コンテンツ・ランキング上位にあるコンテンツについてのライフサイクル管理による専有可能性を有効に活用していることが確認できた。この専有可能性が機能するケータイコンテンツ市場は、コンテンツ・カテゴリーの多様化を促すケータイ・キャリアの事業戦略に依存している。キャリアとコンテンツ・プロバイダーとの関係は、垂直的な分業関係ではなく、iモードのプラットフォームのうえで、プロバイダー等が独自の組織ネットワークを築いている関係性から成り立っている。その関係性は、疎結合の関係性であり、K.E.ウェイクらのルース・カップリングな性格をもっているものと考えられる。疎結合とは,緩やかに連結されているシステムで,バラバラな価値観をもった個人や独自の文化をもったサブシステムが利己的共生のような関係で結びついているものである。この疎結合の関係性をもつビジネスモデルを確立するために、コンテンツ・プロバイダーは、さまざまなコンテンツに関連した戦略的提携行動を繰り返している。なかでもケータイコンテンツを囲い込むためのバンドル化・ブリッジ化を行うための、ケータイコンテンツ市場における戦略的提携行動とライセンシング活動を頻繁に行っている。そのため、多くのプロバイダーの間で知的財産マネジメントの専業組織を子会社化して展開していることが分析できた。この研究から、疎結合の関係性をもつコンテンツ・ビジネスの育成が有効であると考えられる。
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