2008 Fiscal Year Annual Research Report
光活性化アデニル酸シクラーゼ大量発現系の開発-活性化の分子機構解明をめざして-
Project/Area Number |
19614004
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
伊関 峰生 The Graduate University for Advanced Studies, 葉山高等研究センター, 上級研究員 (60414009)
|
Keywords | ミドリムシ / 形質転換 / 光センサー / アデニル酸シクラーゼ |
Research Abstract |
本研究は、申請者らが発見した青色光センサー、光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)の活性化の分子機構を明らかにすることを最終目標とし、従来困難であったPAC試料の大量取得を目指してミドリムシにおける大量発現系の開発を行うものである。前年度において、大量発現系開発の基盤となるミドリムシ形質転換系を確立すべく、ミドリムシの薬剤感受性の検討、PAC遺伝子の単離と配列決定を行った。本年度は、これらの情報に基づいて実際に形質転換用ベクターを構築し、形質転換実現を試みた。 前年度の検討により、ミドリムシはG418やzeocinに良好な感受性を示すことが明らかとなったので、neo遺伝子を導入したpZsGreen(Clontech)をベクターの基本骨格として用いた。これにミドリムシのrRNAをコードする環状DNAや、PAC遺伝子の上流部分を含むフォスミドクローンから得たDNA断片を挿入した形質転換ベクターを多数構築し、薬剤耐性ならびに蛍光をマーカーとしてスクリーニングした。しかしながら、結果としてこれまでに安定な形質転換体を得ることはできていない。このことはミドリムシにおいて本質的に形質転換が不可能であることを示すものではないが、相当の困難を要することは疑いなく、この努力を継続するよりは、むしろ現時点で遺伝子発現制御手法として実効性のあるRNAiに改良を加えていくことが早道のように思われる。そこで、今後は二本鎖RNA導入株のクローニング手法の確立に注力する。一方、本研究を背景として進めてきた共同研究により、PACの単一分子分光分析に成功し、最終目標であるPACの活性化機構解明に一歩近づくことができた。
|