2008 Fiscal Year Annual Research Report
光ラジカル化によるヌクレオチド関連酵素の活性機構の解明
Project/Area Number |
19614005
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小堀 康博 Shizuoka University, 理学部, 准教授 (00282038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 久雄 静岡大学, 理学部, 教授 (50142261)
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Keywords | 結核菌 / カタラーゼ-ペロキシダーゼ / 時間分解電子スピン共鳴 / ラジカル / メチオニン / ヘムポケット / 薬物認識 / 立体構造 |
Research Abstract |
結核菌のカタラーゼ-ペロキシダーゼ(KatG)酵素における酵素反応初期過程を時間分解電子スピン共鳴法で室温において観測した。KatG-アントラキノンスルフォン酸(薬物)の複合体において、レーザー光照射による光誘起電子移動反応を観測し、メチオニンカチオンラジカルと電子受容した薬物のアニオンラジカルで構成されるスピン相関ラジカル対をナノ秒領域で観測することに成功した。得られた測定結果から、この薬物はKatGヘムポケット内部に存在し、近傍のヘム、トリプトファン、チロシン残基を介して高速の電荷分離過程が起こっていることが示唆された。これまで、77KにおけるKat酵素反応中間体の電子スピン共鳴測定では、ヘム近傍のチロシン残基が酵素反応によってラジカルとなっていることが報告されている。今回の光ラジカル化による時間分解電子スピン共鳴測定の結果から、室温では、酵素反応においてメチオニンが酸化されることを示した。以上のことから、本酵素反応機構を明らかにする上で極めて重要な結果が得られたと考えている。さらに、電子スピン共鳴スペクトルから、メチオニンラジカルにおける立体構造、ラジカル対の相対分子配向、ラジカル間の距離および交換相互作用を決定しヘムポケット内部における薬物分子の位置や電子的相互作用を見積もることに成功した。これらの情報は、酵素によって認識される薬物やアミノ酸の位置や構造、立体配置を決定するために有用である。
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Research Products
(8 results)