2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19614007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鞆 達也 Kyoto University, 地球環境学堂, 研究員 (60300886)
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Keywords | シアノバクテリア / クロロフィル / 光化学系 / 光合成 / 酸化還元電位 / Acaryochloris |
Research Abstract |
クロロフィルdを主要色素としてもつ、Acaryochloris marinaはそのエネルギーがクロロフィルaと比較して約100mV低く、光合成電子伝達系において、酸化還元電位の制御の面で非常に興味深い材料である。光化学系IIは水をも分解可能な高電位を形成する膜タンパク質超分子複合体であるが、その反応中心がクロロフィルaであるかdであるかは議論の的であった。我々はAcaryochloris marinaから高純度な光化学系II標品を単離精製することに成功し、可視および赤外分光法により、この反応中心がクロロフィルdの二量体であることを明らかにした。反応中心がクロロフィルdの場合、その吸収するエネルギーが低いことから、酸化側あるいは還元側でこれを補償する必要がある。我々はジチオナイトで還元された光化学系IIの初期電子受容体がクロロフィルa型の反応中心とは異なり、Acaryochloris marinaでは電子伝達活性を失うことを時間分解蛍光、および定常型における吸収変化より確認し、このことから、Acaryochloris marinaは還元側の電位を上げることにより酸化還元電位を調節しエネルギーの補償を行っていることを見いだした。また、光化学系Iにおいても、純度高い標品の精製に成功し、反応中心がクロロフィルdの二量体であることを再確認した。その反応中心の酸化還元電位を測定したところ、従来の酸化側の電位を変えることによりエネルギーを補償している報告とは異なり、還元側の電位を上げることにより調節していることを明らかにした。これらの結果から、Acaryochloris marinaの光化学系I、IIにおいて、還元側で電位を調節しているという新たな知見を見いだした。
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