2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原糸状菌の光環境応答:分子基盤の解明と寄生戦略の追求
Project/Area Number |
19614010
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
木原 淳一 Shimane University, 生物資源科学部, 准教授 (40294368)
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Keywords | イネごま葉枯病菌 / 胞子形成 / 紫外線 / 光誘導性遺伝子 / メラニン生合成遺伝子 / 光環境応答 / 植物病原糸状菌 / Suppression Subtractive Hybridization |
Research Abstract |
イネごま葉枯病菌の光環境応答の分子基盤を明らかにするため、Suppression Subtractive Hybridization(SSH)法により光誘導性遺伝子を網羅的に探索した。その結果、近紫外線または青色光照射によって発現が増加すると思われる702の候補遺伝子を得た。リアルタイムPCRによる発現解析を行なった結果、調査した84遺伝子中39遺伝子の発現が近紫外線照射により増加することを明らかにした。また、青色光受容体遺伝子(BLR1)破壊株を用いて、これら39の光誘導性遺伝子の発現を調査した結果、29遺伝子で、近紫外線照射による発現増加が認められなかったことから、これら29遺伝子は青色光受容体BLR1を介して制御されることが示唆された。今回明らかになった光誘導性遺伝子の中には、これまでに、光制御を受けるといった報告のない遺伝子も多数含まれており、今後、さらに解析していく予定である。また、近紫外線照射によって発現が増加することが知られているメラニン生合成遺伝子の転写制御因子をコードする遺伝子(BMR1)をクローニングし、BMR1遺伝子破壊株ではメラニン生合成遺伝子の発現が認められず、メラニン合成がおこらないこと、また、BMR1遺伝子過剰発現株では、野生株よりもメラニン生合成遺伝子の発現が増加し、野生株と比較してコロニーの色がより黒色になることを明らかにした。 次に、イネごま葉枯病菌の光環境応答の生態学的意義を明らかにするため野外実験を行なった。晴天時と曇天時で、太陽光を一定時間照射し、胞子形成数を調査した結果、晴天時の方が有為に胞子形成数が多かった。また、胞子飛散による病害の広がりを小規模でモニタリングできる実験系を確立した。
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Research Products
(2 results)