2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19650003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉原 厚吉 The University of Tokyo, 大学院・情報処理工学系研究科, 教授 (40144117)
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Keywords | 幾何的退化 / 摂動 / 記号摂動 / 副作用 / 線分交差検出 / 超大規模集積回路 / 配線設計 / 異常交差 |
Research Abstract |
本研究の目的は,幾何的退化を解消する従来の記号摂動法が望ましくない副作用をもたらすことを反省し,除きたい退化だけを選択的に解消できる新しい摂動法を開発することである.昨年度は,3次元ドロネーメッシュ生成問題を取り上げ,従来の摂動では体積0の四面体が生じるという副作用の防止法を開発した.ここで得られた経験・知見を生かして,本年度は,線分交差判定問題における記号摂動の副作用防止方法を開発した.超大規模集積回路の配線設計などでは,平面上に配置された多数の線分が途中で交差していないことを確認しなければならない.多くの配線は水平・垂直の2方向の線分で構成されるため,線分同士が端点で接触することが多いが,これは異常交差とはみなしたくない.線分を無限小だけ縮めるという記号摂動を用いればこの要求は満たされるが,端点以外での接触状態を見落としてしまうという副作用が生じてしまい,本来の目的は達成できない.この困難を克服するために,それぞれの線分を摂動を施した4本の線分で置き替えることによって,実質的に長さ方向には無限小だけ縮め,幅方向には無限小だけ拡大する変形を実現した.これによって,端点同士の交差は検出しないが,途中で接する交差は見逃さない交差検出が望みどおりできるようになった.このアルゴリズムをソフトウェアとして実装し,計算時間の面で負担は大きいものの,副作用なく配線の異常交差を完全に検出できるロバストな振舞いを確認することができた.このように本年には,記号摂動の副作用を防止する二つ目の個別技術を開発することができ,本研究の最終目標へ向かって順調に研究を進めることができている.
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Research Products
(9 results)