Research Abstract |
本研究では,フィールド研究用を支援するためのメディアとして,データ収集,情報交換/コミュニケーション,コンテンツ化の機能が有機的に結合した情報メディアの将来像をフィールド研究に利用しながら実証的に探ることである. 平成20年度は野外体験学習を題材として,以下のように研究を進め,良い進歩が得られた. (a)野外体験学習の記録 小学生の野外体験学習(具体的には京都大学の実験農場での実習)を題材として,その行動データの収集を行った.一日分の記録は,8人程度の生徒の行動を個人視点のカメラで撮影した30時間程度(8人×4時間)の映像となる.これらの映像記録を解析することにより,生徒がどこで何をしていたか,何を見ていたかに加え,何に興味を持ったか,お互いにどのようなコミュニケーションを行っていたか等を解析する良いデータとなることを確認し,データ取得方法としてまとめた. (b)野外体験記録の提示 野外体験学習データの閲覧,予習・復習用のインタフェースとして,大規模ディスプレイ(タイルドディスプレイ)を用いた閲覧ツールを試作し,その効果を確かめた.その際には,実験農場関係者,引率教員等の意見を参考に,種々の機能を設計した結果,大量のデータを俯瞰する良い閲覧ツールとなるとともに,良い予習/復習データとなることを確認した.また,そのためのユーザインタフェースとして,複数人で操作できるジェスチャインタフェースを試作し,その効果を確かめた. (c)行動データの取得 フィールド等での行動データを取得するための一手法として,生体信号である筋電位の計測とその利用方法について検討を行った.複数の電極を用いて多点計測を行うことを前提に,(i)全身的な動作を伴う場合の正確な計測,(ii)筋電位を用いたユーザインタフェース構築,の2点について研究を行い,各々良い成果が得られた.屋内外で身体動作や疲労などを計測するためのインタフェースをシステマティックに設計できる見通しが立った.
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