2007 Fiscal Year Annual Research Report
豊かな匂い提示を実現するための視覚-嗅覚相互作用の検証
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19650024
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
千原 国宏 Nara Institute of Science and Technology, 情報科学研究科, 教授 (80029561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞鍋 佳嗣 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (50273610)
安室 喜弘 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (50335478)
井村 誠孝 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (50343273)
坂田 宗之 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 特任助教 (00403329)
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Keywords | バーチャルリアリティ / マルチモーダルインタフェース / 嗅覚 / 認知科学 / 嗅覚ディスプレイ / 感覚相互作用 |
Research Abstract |
本年度は、嗅覚提示装置の提示可能な匂いの種類をバーチャルに増大させることを目的として、視覚情報が匂い認知に与える影響を検証した。実験には能動的に匂いを嗅ぐ動作に特化することで匂い源の排出量を最小限に抑えられる腕装着型の嗅覚提示装置を開発しこれを用いた。提示される匂いの種類を判別する実験を、次の2つの事項(1)物体画像を事前に提示することによって、匂い認知能力が影響を受けるか、(2)事前に提示される情報が、映像であるか言葉であるかによって匂い認知能力に変化があるか、を検証するために実施した。実験は6名の被験者が5セットずつ、合計30セットの試行を行った。1セットでは視覚刺激と嗅覚刺激が一致しているか否かの問いに計100回回答するものとした。各試行間での有意差の有無をWilcoxonの符号順位判定を用いて検定した。実験結果の解析の結果、実験(1)より、物体画像が表示されることで,物体画像に「対応していない匂い」を「対応する匂い」と誤認する可能性が下がる場合があること、実験(2)より、匂いを提示する前に対応する物体画像を提示することで、提示する匂いがより認識しやすくなることが示された。実験からは、視覚と嗅覚を同時に刺激するコンテンツの制作にあたっては,視覚情報と嗅覚情報の一致が重要であることが示唆される。 映像と言葉による提示が異なる結果を与えたことから、脳内における情報処理過程に違いがあり、映像は視覚野から嗅覚野に直接影響を与えるため処理速度が速いのではないかという仮説を立て、各試行における回答までの時間に差があるかを調べたが、有意な差は見られなかった。 また、関連した研究として、視覚が他感覚に与える影響の評価を定量的に行う手法について、体性感覚への影響を幻肢リハビリテーションを題材として検討した。
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Research Products
(1 results)