2007 Fiscal Year Annual Research Report
生態音響学に基づくサウンドデザインの研究と音響芸術への応用
Project/Area Number |
19650025
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川上 央 Nihon University, 芸術学部, 准教授 (20307888)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 誠一郎 東京芸術大学, 芸術情報センター, 助教 (10436701)
三戸 勇気 日本大学, 芸術学部, ポストドクター (10451303)
|
Keywords | エコロジカル / フィジカルモデリング / イクタラクション / モーションキャプチャ / ソースパーセプション / バーチャルリアリティ / グロッケンシュピール / シミュレーション |
Research Abstract |
モーションキャプチャにより、音楽芸術の一番の根源的行為である叩く行為について今年度は研究した。 小太鼓演奏時の演奏行為をモーションキャプチャにより記録し、動作解析について、その結果を日本音響学会の秋、春の研究会で発表した。その結果、楽器演奏時の行為に関して、これまで報告されていた、轍運動の理論や慣性モーメントなどの運動とは少し違った研究結果を得た。これは、楽器演奏時には、レゾネータへの励起エネルギーの反射を活かした運動行為を行っているという、研究設定時の仮説を裏付ける結果でもある。 並行して行っている、シミュレーションに関してであるが、フィジカルモデリングによる発音に、モーションキャプチャで得られた運動行為のデータを利用したところ、実際の楽器などで知覚されている音源知覚とのずれがあることが示唆された。これは、生態音響学などで言われているSourcePerceptionが、仮想現実では振動体の存在がないため、知覚処理にずれを生じていることによる。これらの結果は、日中音響学ジョイント会議や国際音楽音響シンポジウム等で報告した。 これらの2軸の研究から、生態音響学で示唆されている振動体の励起に関しては、特に、楽器の場合、演奏時の行為が重要な要素であることがわかった。また、演奏による感情情報伝達に関しては、特にこのことが重要で、楽器演奏熟練者と未習熟者では、演奏行為に大きな違いがあることが示唆された。 今年度の研究は、音楽行為のモーションキャプチャによる記録と、行為のより励起された振動体の知覚実験を目標としてきたが、これらの目標は達成しており、20年度の継続研究への重要な知見を得ることができた。
|