2007 Fiscal Year Annual Research Report
関係性発達障害児の療育を支援するソーシャルメディエータの研究
Project/Area Number |
19650044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
岡田 美智男 Toyohashi University of Technology, 工学部, 教授 (50374096)
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Keywords | 広汎性発達障害 / コミュニケーションロボット / ソーシャルメディエータ / 療育支援 / 関係構築 |
Research Abstract |
ロボットは玩具と生物の中間的な存在として,モノ的な性質と他者的性質を併せ持つことから,子どもたちの自発的な関わりを引き出し,社会的関係へとつなげる媒介物として機能する可能性を秘めている。本研究では,社会的媒介者(ソーシャルメディエータ)としてのロボットの可能性を生かしながら,関係性発達障害児に対する新たな療育スキームを開発することが目標である。本年度は,当初の研究計画に従い,次のような実験環境の構築と調査研究の成果を得ている。 (a)子どもの障害特性に合わせた最適刺激を探索するために,ロボット(Muu)のソフトウェア開発を行った。遠隔操作モードと自律動作モード(刺激-反応モード,反響模倣など)を備えさせた。また,子どもや養育者などの操作のために,ゲーム用のリモコンでの操作を可能とした。 (b)京都府子ども発達支援センターにおいて調査研究を行った。本研究で使用するロボット(Muu)と発達障害を持つ子どもの基本的な親和性を確認するために,ビデオ撮影の可能であった19人(年齢は3-10歳)について,プレイルームにおける療育環境においてロボットとのファーストコンタクトを試みた。判定不能の事例を除くと7割の子どもとロボット(Muu)との親和性を確認できた。 (c)それぞれの子どものロボットとの関係構築のパターンを分析し,障害特性に沿った基本的な傾向を明らかにした。また,ロボット(Muu)の備える基本的な弱さが子どもたちの自発的な関与を引き出すことに寄与することを確認した。 (d)ロボットとの関わりをベースに,周囲の人との関わる契機とするようなケースもあり,ロボット(Muu)のソーシャルメディエータとしての基本的な可能性を確認した。
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