2008 Fiscal Year Annual Research Report
関係性発達障害児の療育を支援するソーシャルメディエータの研究
Project/Area Number |
19650044
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
岡田 美智男 Toyohashi University of Technology, 工学部, 教授 (50374096)
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Keywords | 社会的ロボット / 発達障害児 / 療育支援 / ソーシャルメディエータ / 弱さの力 / 共同性 / 最近接発達領域 / 関係論 |
Research Abstract |
1. 京都府子ども発達支援センターにおいて、ロボットと障害児との関わりやその親和性に関する調査研究を行い、ビデオデータの解析を進めた。その結果、次のような結果を得た。(1)発達障害を持つ子どもとロボット(Muu)との親和性は一般的に高い(約7割の子ども)、(2)ロボットの持つインタラクションにおけるシンプルさ、形状が小さい、反応が小さいなどの基本的な「弱さ」がハンディを持つ子ども積極的な関わりを引き出す、(3)ロボットと子どもとの間に置かれた積み木などの媒介物が緩やかな共同性を引き出す上で効果的に機能する、(4)言語レベルのインタラクションでは、対象児が限定されるために、より原初的なインタラクションを実現するロボットの開発が望まれる。結果をATAC 2008 in KYOTO等で発表した。 2. 上記の結果を受けて、複数のタイプのソーシャルメディエータについて新たな設計・開発を行った。(1)弱さを力として、子どもたちからのアシストを積極的に引き出しながら結果としてゴミを拾い集めるロボットの設計と実装を行った。小学校等で健常児に対するフィールド実験、印象評価実験等を行い、その結果をヒューマンインタフェース学会論文誌に投稿した(2009/2に掲載)。(2)テーブルを囲む多人数会話において、参与者の共同性やつながりを引き出すメディア(Table Talk Plus)の設計と実装を行った。また健常者同士の多人数会話場面において検証を行い、その結果を日本生態心理学会での発表し、ヒューマンインタフェース学会論文誌に投稿した(2009/2に掲載)。(3)触覚(もむ=もまれる)の感覚を遠隔でコミュニケーション可能なメディアの設計・開発を行った。 3. 次年度においては、障害児との親和性を検証しながら、子どもの障害特性に合わせた最適なソーシャルメディエータに基づく養育支援の手法を確立していく予定である。
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