2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19650050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片井 修 Kyoto University, 情報学研究科, 教授 (50089124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 浩司 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (90214600)
塩瀬 隆之 京都大学, 総合博物館, 准教授 (90332759)
下原 勝憲 同志社大学, 理工学部, 教授 (10395105)
須藤 秀紹 室蘭工業大学, 工学部, 准教授 (90352525)
野津 亮 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (40405345)
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Keywords | 情報土壌学 / コトの樹 / 風土的人工物 / ケア / コミュニティ / 重層性 |
Research Abstract |
「情報土壌学(Information Edaphology)」における「土壌」の存在に焦点を当て、それがどのように、「コトの樹」の育成につながるのか、について他方面から検討を加えた。片井は、自然農法の無分別、無因論の視点に依拠しつつ、コミュニケーションの土壌としてのライプニッツ時空論を展開した。これは、さまざまなコミュニケーション・インタラクション行為が、ライプニッツ時空の「共生成(co-creation)」として捉えることができること、さらに、それを支える文化や風土、背景文脈・知識などが重層的な土壌空間を形成し、コトの樹との間でエネルギーとみなすことのできる媒体のやりとりが考えられ、それによってコトの樹の育成(コミュニケーション・インタラクションの豊かな展開)と背景土壌の富裕化がどのように実現されるのかを明らかにした。川上は不便益という概念を導入し、人工物と人間の間での豊かなインタラクションの在り方の深層構造を解明し、今までの便利さのみを追求した人工物システムデザインの在り方について一石を投じる研究の展開を行った。塩瀬は、インクルーシブデザインのワークショップを運営を通して、多様な人たちの間のインタラクションから生み出されるコトの樹の豊かさや拡がりを解明した。下原は、関係性のデザインという視点をベースにしつつ、コトの樹と土壌の進化的な形成についての研究をエージェント指向の立場から展開し、情報土壌学がコミュニティの形成にどのように資するかについて解明する重要な知見を明らかにした。須藤は、コミュニケーション行為とライプニッツ時空形成の連関構造について、メディアアートの立場から斬新な検討を加え、深い共感的なコミュニケーションを与えるライプニッツ時空共生成の際に、即興性やアクチュアリティの重要性を明らかにした。半田は、進化的形成の際の最適化について検討を加えた。野津は、コミュニケーションや意思決定がコミュニティの形成や社会的文脈の中でどのように展開されるのかについて検討を加え、情報土壌学の基礎理論構築に有益な知見を得た。
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