2008 Fiscal Year Annual Research Report
画像解析による中央アジアの先史石刻絵画の特徴定量化
Project/Area Number |
19650058
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
高木 隆司 Kobe Design University, デザイン学部, 特別教授 (80015065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥脇 純一郎 中京大学, 生命システム工学科, 教授 (30023138)
水野 慎士 豊橋技術科学大学, 情報処理センター, 助手 (20314099)
出原 立子 金沢工業大学, 情報学部, 准教授 (00299132)
柳沢 究 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究所, 特別研究員 (60368561)
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Keywords | 考古学 / 石刻絵画 / 情報システム / 画像解析 / 画像定量化 |
Research Abstract |
●石刻絵画の画像解析について アイベックス(野生のヤギ)のシルエット絵画を、19年度では約50個解析し、それから形状のトポロジー的性質を表す記号列を求めていた。今年度はさらに約50個の絵画の記号列を追加した。同時に、画像処理による周囲長の測定をおこなった。記号列による特徴化と、周囲長の測定による特徴化の相関を求めたところ、強い相関は認められなかった。これは、トポロジー的性質と周囲長の大小とは別の性質であることを示している。 絵画の記号列の差と、それぞれの絵画がある地域間の距離との相関を求めた。その結果、地域間距離が約500km以下では、絵画のトポロジー的性質と距離のあいだに強い相関が認められた。これは、近い地域間ほどしばしば文化の交流があったことを示唆している。一方、500km以上では、絵画の記号列の差異はほぼ一定であった。これは、特定の動物を描写するとき、文化の交流が無くても、ある程度の相似性が生まれることを示唆する。 ●絵画の破損に対処する試みについて 地衣類による絵画の風化を防止するために、中国で開発されたコケの防止法を適用する試み(白笈という漢方薬を接着剤として和紙を岩面に貼り付ける)を、19年度に始めた。20年度には、その処理の結果を点検した。この方法の有効性は数年以上経過しないと確認できないが、冬季の降雪の影響を考慮する必要があること、および和紙を岩面からはがして清掃することは容易であることがわかった。遺跡を対象とする処理なので、中止する場合は元の状態にもどせることが重要であり、清掃の試みによってそれが確認できた。
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