2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19650081
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山崎 由美子 The Institute of Physical and Chemical Research, 象徴概念発達研究チーム, 客員研究員 (20399447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入來 篤史 独立行政法人理化学研究所, 象徴概念発達研究, チームリーダー (70184843)
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Keywords | 神経科学 / 認知科学 |
Research Abstract |
道具使用はヒト以外の動物にも例があるが、それらは手や嘴など、効果器の及ぼす力を強めたり、補助したりする「運動道具」として分類できる。ヒトはそればかりでなく、双眼鏡、顕微鏡、マイクなど、感覚器の補助や付加的な感覚器としての「感覚道具」を使用する。このことは、ヒトとヒト以外の動物との間に、認知的能力における大きな差異があることを示唆するが、表出行動としては持たなくても、感覚道具使用に関連ある、あるいはこれを可能にする前駆的な能力が、いくつかの種で共有されていると考えることも可能である。そこで、本研究では、ニホンザルに感覚道具の使用を訓練し獲得させることを試み、ヒト固有の感覚道具を可能にさせた行動的前提条件を明らかにし、体系立てることを目的とした。本年度は、感覚道具の使用を訓練するために、サルに獲得可能であることが知られている運動道具(熊手)の訓練を1頭で行うことから始めた。獲得した運動道具使用行動が、視覚的に転置された手がかりを用いても可能になるように、鏡を利用した訓練法を導入した。次に、鏡を独立に操作する条件、モニター上の手がかりを用いて餌を見つけ出す条件を加えて、最終的な感覚道具使用に必要な行動的要素を訓練した。すべての要素を獲得後、目隠し用スクリーンによってサルには手元と熊手の動きが見えない条件で、熊手道具の先についたカメラからの映像をモニター上で見ながら、餌を探し、探したときには熊手を使って引き寄せるという訓練を行った。はじめはランダムに近い軌道を描いて道具を用いていたが、次第にモニターと餌の位置との対応関係に基づいて道具を操作するようになり、最終的にはなめらかな弧を描いてテーブル上を走査し餌を得られる段階に到達した。
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Research Products
(2 results)