2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19650086
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
鈴木 えみ子 National Institute of Genetics, 構造遺伝学研究センター, 准教授 (20173891)
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Keywords | 解剖学 / 細胞・組織 / 神経科学 / 脳・神経 / 電子顕微鏡 / FIB |
Research Abstract |
神経回路の形態解析の手段として電子顕微鏡が利用されているが、従来行われて来た超博切片法による解析は時間がかかり、効率が悪いという欠点があった。そこで、本研究ではこの問題を克服するために、試料をFocused Ion Beam(FIB)でエッチングし、その表面を走査電子顕微鏡で観察する操作(FIB-SEM法)を繰り返す事により、連続断層像を比較的短時間で得る方法の確立をめざした。これまでに、比較的大きなシナプスであるショウジョウバエ幼虫体壁筋の神経-筋結合部(NMJ)を材料として予備実験を行った所、NMJのFIB-SEM観察が可能であった。そこで、今年度はこの方法を中枢での運動神経回路にも応用するための、技術的な改良点を検証した。 1.神経回路の特異的標識法:中枢神経系では、通常の試料作成法では特定の神経細胞を同定するのが困難なので、分子遺伝学的手法を用いて特定の神経細胞の細胞膜だけでHRPを発現するショウジョウバエ系統を用いて電子顕微鏡レベルで可視化する方法を試みた。利用可能な系統を検討したが充分に強い酵素反応を示さなかった。そこで、今後は酵素の発現量を高める方法を試みる予定である。 2.FIBの条件設定の検討 FIBによるエッチングは、試料に熱変性効果を示す。この効果はイオンビームのエネルギーレベルに依存する。一方、FIBの軸方向に深くエッチングする為には,FIBのエネルギーを大きくしなくてはならず、熱変性の効果をさける事が出来ない。そこで、変性を最小限にする最適のパラメーターを検討した。その結果、加速電圧3kV、照射電流料0.27nAでビーム軸方向に15μの深さで100nmのエッチングを施した場合に良好な画像を得る事が出来た。今後はエッチング厚をさらに薄くして、より詳細な3次元像を得る事をめざす。
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