2007 Fiscal Year Annual Research Report
頭針治療直後に現れる位相性卒中麻痺軽減時における脳内過程のMRI解析
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19650088
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井上 勲 The University of Tokushima, 疾患酵素学研究センター, 准教授 (80001973)
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Keywords | 脳血管障害 / 脳機能障害 / 頭針治療 / SHR-SP / MCAOラット / 血管由来性浮腫 / 細胞毒性浮腫 / 血液脳関門 |
Research Abstract |
高血圧性卒中易発症ラット(SHR-SP)、及び中大脳動脈閉塞(MCAO)ラットに対し、頭針(Scalp Acupuncture;SA)治療とその過程における脳内MRI画像解析を行った。SAR-SP卒中発症に特徴的な脳内変化は、Blood-Brain-Barrier(BBB)透過性の増大と、その結果現れる血管由来性浮腫の急激な拡大(T2画像で検出)であり、細胞毒性浮腫(拡散画像で検出)は認められない。10分間のSA処置後麻痺の緩和と全身症状の改善が見られ、1日後には血管由来性浮腫の顕著な縮小がすべてのラット(n=7)で認められた。SA治療を施さないラットでは、麻痺の進行と浮腫の拡大が認められた(n=7 out of 9)。すなわち、SHR-SPにおける卒中発作は血管由来性浮腫の発現を伴い、浮腫の軽減は内因性の水排出作用によるが、SAはこの内因性作用を著しく増強することが強く示唆された。一方、MCAOラットにおいては、1時間の閉塞により広範な細胞毒性浮腫が現れ、片方前肢に麻痺を起す。このとき血管由来生浮腫は発現しない。再灌流1日後血管由来生浮腫が広がり、全身症状の悪化を引き起こすが、これは再灌流時に発生するフリーラジカルによる血管内皮細胞損傷と、それによるBBB透過性上昇によると考えられている。SAは、細胞毒性浮腫、血管由来性浮腫に対しても、麻痺に対しても効果は認められない。すなわちSHR-SPとMCAOラットでは神経障害発症の脳内過程は異なり、従ってそれぞれの発症原因により治療法も異なる。我々の実験は、脳血管障害による麻痺治療に対して重要を与える。すなわち高血圧に起因する卒中発症に伴って発現する血管由来性浮腫は、脳神経機能障害の要因の一つであり、不可逆的な(あるいは回復の遅い)機能障害に至る前にこの浮腫を取り除くことの重要性である。血管由来性浮腫は、静水圧によりBBBを超えて血管内から脳組織中の隙間への等張性水溶液の漏洩により生じるものであるが、我々の実験は、内因性の浮腫除去機能の存在と、この内因性機能を活性化するための治療手段があることを示した。
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Research Products
(2 results)