2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体内での小分子物質による神経軸索保護〜視神経変性モデルを例として〜
Project/Area Number |
19650089
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
荒木 敏之 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所・疾病研究第五部, 部長 (70263275)
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Keywords | ビタミンB3 / 酸化ストレス / ERストレス / 虚血 |
Research Abstract |
神経軸索変性は中枢、末梢の神経変性疾患などにおいて幅広く見られ、神経変性疾患、脳血管障害による神経傷害など幅広い神経疾患の進展や症状形成にも関与している。軸索変性過程の詳細は従来明らかではなかったが、最近申請者らは、神経軸索のワーラー変性(傷害後変性)が著しく遅延する自然発症マウスwld^s幅捷の異常の本体がNAD産生酵素であるNMNAT(Nicotinamide mononucleotide adenylyltransferease)酵素活性の過剰発現であることを明らかにした。 NMNATの酵素活性過剰発現は、神経軸索をワーラー変性から保護するのとあわせ、細胞体を含む神経細胞全体を保護できる場合と保護できない場合があるが、これまでの報告の多くの場合においては、神経軸索の保護にとどまる。 一方、vald^sマウスと交配したDBA2/Jマウス(緑内障モデル)においては、視神経節細胞は細胞体を含めた保護が観察された。このことは、この緑内障モデルの発症メカニズムを考える上で興味深い。 初代培養神経細胞に、これまでに神経変性と関連付けられているさまざまなストレス刺激を加えて、wld^sマウス由来神経細胞がどのようなストレス刺激に対する保護作用を特に強く示すかを検討したところ、低酸素・低栄養刺激に対する保護効果を最も強く示すことが明らかとなった。 今後、wld^sマウス由来神経細胞の示す神経保護作用のメカニズムを緑内障モデルの発症機序の理解と、その応用よる神経保護の実現に関する研究を更に継続する予定である。
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Research Products
(5 results)