2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体内での小分子物質による神経軸索保護〜視神経変性モデルを例として
Project/Area Number |
19650089
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
荒木 敏之 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所疾病研究第五部, 部長 (70263275)
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Keywords | 脳神経 / 脳神経疾患 / 神経科学 |
Research Abstract |
軸索変性過程の詳細は従来明らかではなかったが、最近申請者らは、神経軸索のワーラー変性(傷害後変性)が著しく遅延する自然発症マウスwldsの発症機構の解析から、NAD合成酵素NMNATの過剰発現とSir2の活性化が軸索変性過程を遅延させ、神経変性過程を抑制する可能性を示した。最近wldsマウスと疾患モデル動物の交配による疾患治療効果を検討する実験において、軸索変性遅延効果が認められても神経細胞死は抑制されないという例が報告されるようになった。これまでの報告されている中で、wldsマウスのバックグラウンドを持つことによって神経細胞全体が保護されるのはDBA2マウスにおける緑内障モデルほか少数のモデルにとどまる。 本年度の研究においては、NMNAT酵素活性過剰発現による神経細胞保護効果を異なるストレス刺激に対して観察した。その結果、低酸素・再酸素化による細胞傷害に対する保護効果が顕著であることが明らかとなった。この結果からNMNAT酵素を活性過剰発現する神経細胞におけるミトコンドリア機能の改変が考えられたため、ミトコンドリアの電子伝達系酵素複合体のそれぞれに対する阻害剤の毒性に対するwldsマウスの神経細胞がもつ保護効果を検討したところ、一部の阻害剤に対する特異的な保護効果を認めた。このことから、DBA2マウスにおける視神経障害に典型的に見られるような、NMNAT活性が保護可能な神経傷害メカニズムには、ミトコンドリアの異常が関与している可能性が強く示唆された。
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Research Products
(7 results)