2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染に起因するエピジェネティック制御と個体発生への影響
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19650102
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八神 健一 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40166476)
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Keywords | パルボウイルス / NS / エピジェネシス / BMPER |
Research Abstract |
パルボウイルスNSおよびEGFPを発現するレトロウイルスベクターをC57BL16マウス由来のES細胞に導入し、EGFPの発現量を指標にNS高発現クローン及び低発現クローンを得た。各細胞クローンについて、in vitro分化誘導により3胚葉への分化能力を比較検討したが、ES細胞の分化誘導は可能であったが、分化の程度を定量的に比較することが困難で再現性のある結果は、現在まで得られいない。一方、NSおよびEGFPを導入したTリンパ腫細胞(C57M(D)cell)では細胞のアポトーシス感受性の低下、細胞増殖性や腫瘍原性の低下が見られ、ES細胞の外胚葉系細胞の分化制御に関わる8MPのアンタゴニストとして作用するbmper遺伝子の制御領域でDNAメチル化が亢進し、それに伴うBMPERの発現抑制が認められた。しかし、bmperのノックダウンによりBMPERの発現を抑制した細胞クローンでは、C57NT(D)よりもアポトーシス感受性、細胞増殖性、腫瘍原性はいずれも亢進していた。 今後、NSを導入したES細胞で、アポトーシス感受性、細胞増殖性、腫瘍原性の亢進の有無を検討するとともに、BMPERの発現とbmper遺伝子DNAのメチル化の状況についても検討し、BMPERを介したBMP下流のSmadあるいはMPKシグナル伝達系へのNSの関与を明らかにし、パルボウイルス感染における病因因子としてのNSの機能を解明したい。
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