2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工心臓に適する機械弁の開発を目的とした流体工学的観点からの基礎研究
Project/Area Number |
19650120
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
妙中 義之 National Cardiovascular Center Research Institute, 国立循環器病センター研究所, 副所長 (00142183)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 章彦 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 室員 (20287428)
築谷 朋典 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 室長 (00311449)
李 桓成 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 特任研究員 (10463275)
赤川 英毅 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 研修生 (40416219)
|
Keywords | 流体力学 / 機械式人工弁 / キャビテーション / 流れの可視化 |
Research Abstract |
拍動型の補助人工心臓に用いられる機械弁は自然心に適用されるよりも過酷な条件での開閉運動を強いられる。しかしながら、一般的に機械弁は弁置換治療に用いられており、人工心臓への使用を想定してはいない。当該施設では空気圧式補助心臓を開発しており、この人工心臓に適した機械弁の開発システムを確立することを本研究の目的とする。また、人工心臓用の新たな機械弁の開発を実現するために、市販されている機械弁の流体動力学的特性および耐久性などに関する検討を行い、選択基準や設計指針の確立を図ることを目的とした。 平成20年度においては、平成19年度に行われた研究結果から、血流体動力学的な特性に優れたSorin Bicarbon二葉式機械弁を当施設で開発中の空気圧式補助心臓に装着し、血流動力学的な特性を検討した。なお、二葉式機械弁はハウジングがcarbon材であるため、圧縮力には弱く、弁のハウジングに圧縮力が掛からないように弁座の構造を改良した。その弁を当施設で開発中の空気圧式補助心臓に装着した後、弁の開閉運動の確認を行い、溶血や機械弁の耐久性に大きく影響を与えるキャビテーション現象と弁付近での流れを可視化技術で検討した。その結果、弁葉の形状が曲面型であるSorin Bicarbon二葉式機械弁においては、キャビテーションの強さは弱まっていった。なお、弁葉の形状が曲面型であるため、収縮期には高いせん断応力は生じなかった。この結果から、当施設で開発中の空気圧式補助心臓にはSorin Bicarbon弁のような弁葉の形状が曲面型の機械弁が適当であると思われた。しかしながら、二葉式機械弁による血液ポンプ内部の流れの可視化はまだ検討されていない。今後、二葉式機械弁による血液ポンプ内部の流れの可視化と動物実験を行い、血液ポンプ内部の抗血栓性の検討は今後の課題である。
|