2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規な刺激応答性インテリジェントナノカプセルを用いた薬物放出の完全制御
Project/Area Number |
19650123
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
明石 満 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (20145460)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 敏之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20234297)
網代 広治 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任講師 (50437331)
|
Keywords | 中空カプセル / it-PMMA / st-PMAA / ステレオコンプレックス / 放出制御 / ポリ乳酸 / ポリリシン |
Research Abstract |
本研究ではまず、イソタクチックポリメタクリル酸メチル(it-PMMA)とシンジオタクチックポリメタクリル酸(st-PMAA)からなる中空カプセルを調製し、そこからの内包物質の放出挙動について検討した。平均粒径330nmのシリカ粒子をit-PMMA(mm:mr:rr=99:1:0,Mn=20,400,Mw/Mn=1.2)のアセトニトリル溶液とst-PMAA(mm:mr:rr=1:3:96,Mn=36,000,Mw/Mn=1.3)のアセトニトリルー水(1:1)混合溶液に10サイクル交互浸漬することにより、it-PMMAとst-PMAAのステレオコンプレックス超薄膜をシリカ粒子上に形成させた。得られた粒子を2%フッ化水素酸で処理してシリカテンプレートを除去し中空カプセルを調製した。調製した中空カプセルならびにそこからst-PMAAを抽出した後の中空カプセルの電子顕微鏡観察より、シリカテンプレート除去後も球状の形態を維持し、中空のカプセル型構造をとっていることがわかった。また、st-PMAA抽出後も中空のカプセル型構造が保持されていることが明らかとなった。次に、ローダミン6G(蛍光色素)をあらかじめ吸着させた多孔質シリカ粒子(平均粒径2μm)をテンプレートに用いてローダミン6Gを内包したit-PMMA/st-PMAA中空カプセルを調製し、st-PMAAの選択的溶出(抽出)に伴うローダミン6Gの放出挙動について検討した。pH5の水中では20時間経過後もローダミン6Gの放出は認められなかったが、pH6〜9の水中において顕著な放出が観測された。pHの増加とともにローダミン6Gの放出速度が増大し、pH9の水中では5時間以内にほぼ全量のローダミン6Gが放出されることがわかった。 また、同様の手法によりポリ乳酸とポリリシンからなる新規な中空カプセルの調製にも成功した。
|